15年ほど前、パリの食世界は、新しい動きに向かい始めていた。その名も、ビストロノミー、打算のないレストラン。それから数年後、パリの食風景は、すっかり新しくなった。当時流行っていたレストラン、レガラッド、カンドボルド、ウルシン、シェ・ミシェル、バラタン等も、その大波をうまくかわしたと言えよう。
そして、その当時よく話題になった、サレ・エ・ペペ。元気で多彩で陽気で、悪くない料理とお人好しのオーナー。当時のレボリューションとでも言えたのが、前代未聞の店内完全禁煙。この大胆さは想像を超えた。
そして今日、改めて店のドアをたたく。
リコッタとハムのピザ。見かけはなかなかよかったが、ピザにはつきものの「冷めるまえに口に詰め込め」という慣習はやはり存在した。それぞれの食材はベストなコンディションとは言えないまでも、ピザ生地は、オーブンでうまく焼かれている。しかし6分後、その魅力はすべて消え去った・・・。芸人みたいに、速攻口に詰め込めなければならなかったらしい。
サービスは、ジャズのリズムにのって、親切だった。でも、この店、実はオーナーが変わったらしく、経営者はナントにもどって、同じ名前のピザ屋を開いたという。つまり今は、キャプテンのいなくなった、街角のピザ屋になってしまったのだ。まずくはないが、当たり外れがある。
ハーフボトルのワインとミネラルウォーターをたのんで、35,50ユーロは、誠実だろう。
Sale e Pepe
30, rue Ramey - 75018 Paris
Tel : 01 46 06 08 01
Photos/F.Simon