今ではすっかり平凡な出来事になってしまったが、グルメなビストロの開設、というレボリューションは、自然に、そして軽快に過ぎていった。
1980年代、シャトー通りの「ラシエット・ドゥ・ルル
L'Assiette de Lulu」のような店がオープンすると同時に、ずいぶん前から始まっていたこの傾向は、ガストロノミー界に大波を立てた、クリスチャン・コンスタン
Christian Constant の弟子シェフたちと共に、進展を果たした。中でも、エリック・フレション
Eric Frechon は、19区に「ラ・ヴェリエール・デリック・フレション
La Verrière d'Eric Frechon」、1992年には、イヴ・カンドボルド
Yves Camdeborde が「ラ・レガラッド
La Régalade」をオープン。
突然、ビストロの快適さを維持する気軽な店で、おかしなくらい、うまいものが食べられるようになった。そして、大抵のシェフが、高級ホテルのレストランでの修行を積んでいるため、3つ星レストランで食べれるような料理を、そんなビストロで目にすることさえできるようになった。ただネックなのが、これらのビストロには、星が全く付いていないこと。これはまた別の話になるけどね。
この日、ブルーノ・ドゥーセ
Bruno Doucet の新レガラッドで頂いたディナーは、本当に幸せな一時だった。
シェフは、相変わらず14区の店の方にいるものの、スクーターに一乗りしてこちらへ移動している上、よく働くセカンドシェフのおかげもあるのだろう、2件とも、大変うまくいっている。
店舗数を増やすシェフの、昼の行動ルートを、航空地図で描いてみたら、きっと面白いものができるに違いない。
8つの腕を持つ、シバ神的な料理。一昔前よく目にした曲芸師的な警官の行進みたいに、バイクの上に直立しているシェフの姿さえ想像してしまう。
料理には、快楽と気前の良さが轟いていた。前菜が運ばれる前から、堅固なテリーヌと、気がおかしくなるくらいうまいワインが、謙虚なサービスと共に出される。
その後もそれ相応で、ほうれん草の上にのった鱈の一皿、また、450グラムのステーキはちょうどいいくらいに熟成しており、ライスプティングみたいなズキズキするデザートも、最高だった。
値段は、前菜・メイン料理・デザートを合わせて、33ユーロと、仔羊のようにやさしい。
活気があって、構築的なおもてなし。
La Régalade Saint-Honoré 123 rue Saint-Honoré - 75001 Paris
Tel : 01 42 21 92 40
MapPhotos/
F.Simon