3300万人もの人口を抱える東京の街は、世界でも人口密度が高い都市の一つである。この街は、内輪だけの贅沢、秘密の何かを体系的に培っている。その事実はまず、その表情から察知できる。
ここでは、半秒後に、心に釘がささるような出来事が起こるのを、予知できる者はいない。恐いものがまるでない。まるで、演劇で使う仮面のように、平然とした顔で、性格さえ表に出さずにいる。
そんな東京の街が、恒星的空間に変身するときがある。まるで未知の街になってしまうかのように。
騒音の激しい電気屋の、耳障りなカオスが常置する。洞穴学のような親密さに出くわしたときには、描写できない歓喜を感じるだろう。
新宿の交差点を、何千もの人間が行き交うのを目にしていると、アリさえそれをねたむに違いない。東京の街は、来客にとっては完全に透き通っている街のように思われる。ここでは、楓の花の色から、トロの脂身の比率バリエーションまで、すべてが表現されている。
街は、そのままの自分を見せてくれる。バリエーションと雰囲気のコンポジション。壮大な商店が、それよりいっそうエスカレートしていく。伊勢丹では、55種類もの塩が販売され、熱狂したネオンはそれを越すものがない。気違いかと思うくらいの魚市場、築地。
そんな東京も、時として、又違う顔をもった街、もっと繊細で、派手さと横柄さにかける街に融合していく瞬間がある。結局、東京は、近郊の街との共立性のおかげで、一つの街の形をとっているのだ。だから、東京は、魅力的で、平穏で、優しくてセンセーショナルな街になる。
活気に満ちた街にも、地方と同じ月の影がおちると気づく。人の心のように。
9時
汐留パークホテル
ここは、お勧めホテルのひとつだ。銀座から歩いて2分の汐留に位置するパークホテルは、完璧にモダン化された部屋と、笑顔溢れるサービスが、愚痴ばかり足れるフランス人のしわを伸ばしてくれるに違いない。レストランは、パリでも「ステラマリス」を経営する、吉野建シェフがコンサルタントに入り、基盤がいい。
もし、もっとノスタルジックなホテルをお探しでも、キャピトル東急ホテルは、少し時代遅れだろう。このホテルは、1966年、ビートルズが来日したときに使っていたホテルで、当時のヒルトンである。その巨大な建物には、254部屋もの客室が設けられている。
その代わりに、ヒルトップホテルがもってこいだ。1954年に建築され年期の入った部分と、イスが9つしかない付属のバー「モンモン」は、魅力的である。このホテルの天ぷらは、すごいと聞いた。
また、東京にきたなら、ラブホテルを経験しないわけにはいかない。日中なら、一時間刻みで滞在できるが、一人で行かないほうがいい。神谷町下車の歌舞伎町か、渋谷の地区に多々ある。
Photos / F.Simon パークホテルからの眺め