大空がやけに青かった。
まるで、武装した旅行客が、毎朝空を磨いているみたいだ。
耳障りなバイク。いらだった娘たちと心配性の男たち。
モンテ・カルロの高価なキッチュの山の中で、すでに聞き飽きたため信じなくなったメロディーをまた演奏する、時代遅れのオペレットのようなものを感じる。
街のけばけばしいウィンドーの前をぶらぶら歩き、付けまつげで高層ビルの隙間を楽しむという、本当の喜びがあるのだろう。
モンテ・カルロには、演じすぎたため必然的に感動し、おかしくてコミュニケーション豊かな生活がある。
まるでポップミュージックの世界だ。
この手の環境の中では、ためらうことはない。
選択肢は、歩道に佇まい無礼者が通るたびに舌を出すか、又は鏡を横切り王宮生活でのパーティーを楽しむかだ。
確かに、少々の浪費は覚悟のうちだが、そのラインを越えたら、人生がいくらかの氾濫を許可したということ。
オテル・ド・パリの場合。
ここは便利がいいし、モナコの中心でもある。また、先住民たちがアペリティフを頂く場所でもある。クリエーターたちはもちろんのこと、小金持や、ゴージャスな老人、見せかけの孤独人、そしてすこしの無名人たちが遭遇する。
もし入り口でテーブルを選ぶことになったら、レストラン、ルイ・キャンズの入り口が真正面に見えるだろう。
食べ物は模造品で、美食からは程遠いものと思ってしまうかもしれないが、サーモンで包まれたキャビアなんて、偽物によく似た本物だった。
頭を柔らかくしてみたら、なんて奇妙な話。世界中でかどうかはしらないが、ヨーロッパで一番いまいレストランの一つがここに健在する。
アラン・デゥカスの2番手、フランク・セルッティ(どっちが2番手かは謎だが)の料理は、しっかりした味付けと、マンマの味と善良さが加わった太陽を思い浮かばせ、リヴィエラの香りがするいいキュイジーヌ。
夕食の後には、公国がより寛大で穏やかに見えてくる。
もうすぐ深夜の鐘が鳴る。
決める前から、足はすぐ目の前にあるカジノへと向かっていた。
Le Louis XV - Hôtel de Paris
place du Casino
98 000 Monaco
T. +377 98 06 30 16
コメント