いい時間だった。
バルトの「表徴の帝国」とうまいボルドーワインを連れに、僕は一人きり。大げさかもしれないが、まるで小さな雲の上に浮かんでいる気分だった。
食事はサービスされる前からもう目に見えていた。
失望しないかどうかという不安は不変の恐怖感とも言えるが、そんな期待を秘めながらも、最終的に料理に言うことはなかった。
30種類以上の野菜が使われた一皿は、空と地との間で石蹴り遊びしているみたいに、火の通った野菜と生のままの野菜が解け合っていた。
それから、地獄へと僕を引き落とす、ジビエのタルト。
半裸の兵士になって、戦歌を歌い上げたい気分だった。さすがに今回はやめておいたが。
野菜でできたデサートも最高。
店を後に、タクシーを拾いながら僕が口ずさんだ歌はダビッド・ボーウィの「Oh You pretty thing」。
いい夜だった。
Photo/F.Simon
コメント