ミシュランの3つ星シェフ、マルク・ヴェラ(58才)が、レストラン業界から一旦身を引いて、ミシュランへ3つ星を返還する決心を発表した。
2006年の過激なスキー事故から3年。まずはリハビリに時間を費やし、その後でエコロジーな食に関するプロジェクトを展開する予定らしい。
「もうおしまい。今までの人生を、客のためだけを思って過ごしてきたから、そろそろ休養が必要だ。僕の人生はけっして生易しいものではなかった。あらゆるメダルはもらったけれど、僕自身満たされた試しがない。僕の「人生」が裕福だっただけの話だ。」
オリヴィエ・ロランジェもそうだった。
アクセルギアから足をはなして、3つ星が求める完璧さの横暴に従うことを断念した。彼は語った。「毎日完璧なサービスを維持しようとして、体がついていかないという困難さを日々感じていた。」
ムジェーヴで2006年1月8日に起こった激しいスキー事故がきっかけで、マルク・ヴェラ自身も、体がいつも思い通りに動いてくれるわけではないことを悟ったのだろう。頸骨、腓骨、肩、首の骨等、体中を骨折して、サボワ出身のシェフは車いすの1年を過ごした。今日もなお、松葉杖で移動し、数々の手術を繰り返している。
ヴェラの過労状態は限界に至ったのだ。
次なるプロジェクトに専念した方が利口である。ここ数年、水の再利用や独自の畑から穫る野菜等、完全自給自足のエコロジーなレストランを開くアイデアに余念がない。高度1800メートルのマニゴッドで、2010年に開店予定の彼の夢のレストラン。25席しかない店内に、子供の頃から溜め込んだあらゆる夢を実現することを心待ちにしている。
「あのころは、干し草を作ったり、畑を耕したり、ブルーベリーを育てたり、豚のさばき方も知っていたさ」
マルク・ヴェラのプロジェクトはこれだけでは治まらない。
プラハ近郊で、オーガニック料理のレストランを開き、分子調理法の実験室をつくることも次なる策略だ。
コンテンポラリーな調理法を使って、森で穫れる食材を料理する。
AFP が報道した「ローベルジュ・ド・ラ・クレリエール」は、チェコのエコロジー建築家研究者、Petr Suske によって考案され、プラハから西へ約20キロ、ブローン Beroun 近郊の森の中に基盤を構える。
マルク・ヴェラは、ただ前にのびる道へ踏み出した。3つ星返還に同情されている暇もなく、彼の行動力は次なるプロジェクトに向かって既に動き出している。エコロジープロジェクトはもちろん、オーガニックのファーストフードもしかり。彼の娘、キャリンと一緒にアヌシーに開いたレストラン「コズナ・ヴェラ」。僕らの勇ましい男が、既に次なるステップを踏み出していることを証明している。キャッサバ風味の子牛のブランケット、ブフ・ブルギニョン、タルティフレット(サボワ地方のジャガイモのグラタン)が7〜15ユーロ。
By F.Simon
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