かなりほっとしたことは、スークで、こちらの邪魔をしに向かってくる奴がいなかったことだ。
この一週間でたったの一度だけ、チューインガム売りのガキにつつかれたくらいで、そのガキも、すぐに大人がやってきたかと思うと、ひどく叱りつけられていた。
だから、スーク訪問は幸福そのものだった。
カラフルな発酵飲料やさまざまな匂い、目移りし続ける視線を存分に味わった。
男達の視線は正直でダイレクト、控えめだけれど堂々としている。上っ面さがなく、心の中をあさられているかのようだった。
女達の視線は、わかりにくい。なんといってもスカーフで覆面しているからね。しかし、たまに女性の視線を目にするときには、こちらが震え上がってしまう。
スカーフの中に隠された視線は、あからさまな視線よりも強いと言うのか。
Photos/F.Simon
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