午前10時。資生堂の大社長、福原氏を、銀座にある資生堂の建物内で待っていたのは、僕を含めて数人いた。
現れた福原氏は、控えめな装いで、その集中力加減から、日本の大家育ちという雰囲気を感じさせる。
インタビューは、尊敬してしまうくらいに空虚な内容の答えばかり。マーケティングについての真相を聞きだしたら、「数字からはいいアイデアは浮かびません。」外見崇拝については「中身が空っぽの場合は、外見を磨きますね。」
この返答には、僕も吹き出しそうになった。銀座の大通りに立って、スピーカーを片手にこの返答を連唱できるか、と尋ねてみたところ、彼は笑いながら答えた。
「ここだけの話ですよ」
Photo/F.Simon
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