毎回ここへ来るたびに、僕は衝撃的な平手打ちをくらう。
世界一大きな魚市場。
海の香りがする熱狂。大自然の大海が、ここで解き明かされる。大騒動の中で、ケースからのめり出るタコ、カエル、アワビ、40年ものの牡蠣たち。
生と魚、そして塩辛い闘争に揉まれながらも、僕は進んでいった。
無精で乱暴なこの世界にも、笑顔と丁寧さは存在したらしい。すれ違いざま、ぶつかるたびに、謝罪の声が飛ぶ。そんな中で、来た道を引き返したら、この若い女の子と目が合った。思わず、28番のケースの中にもぐりこんでしまいたくなる。
Photos/F.Simon
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