19時57分。夕食にはもってこいの時間だ。店内にはまだ誰もいない。一番乗りの僕は、有頂天だった。店のドアを押した途端、ウェイターががつがつと僕の方へ向かってきた。
「まだ営業していません。5分後に来てください。」
なんと馬鹿げた発言の先をみようと、僕も答えた。
「外で待ってなきゃならないの?」
即時に返ってきた答えは、
「ウィ」
19時59分。常連客がやってきて、勝手に各自の席へ座り始めたので、僕も後を追った。
幸運にも、注文をとってくれたのは、始めとは違うウェイターだった。最高の笑顔が、数分前の経験を(ほぼ)遠い思い出にさせてくれた。
注文したカニのパスタは、気前のいい一皿だった。火の入れ加減は正確で、パスタの固さも文句のつけようがない。しかし、味ははかなく、料理名だけが先走っている気がした。デザートのティラミスも、主張力のないデザートだった。
客層。わざわざこの店でパスタを食べようと、パリを横断してきたような客はいなかった。6区の快適さに慣れた、常連客ばかり。だから、団結的とでもいった、愉快で優しいムードが漂い、最高だった。きっと、フランスでは見られない「常時ご機嫌ムード」を、イタリアt料理が持ってきてくれたのだろう。
2人で102ユーロ。場所と客層を考えたら、そんなものだろうが、安くはない。
Le Cherche-Midi
22, rue du Cherche-Midi - 75006 Paris
Tel : 01 45 48 27 44
By F.Simon
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