火星人でさえ、開いた口が塞がらないであろう、この類いのジェスチャーは、きっと、レストランでしか経験できない。
パンには手を付けずに、メイン料理を食べ終える。デザートメニューが渡される瞬間。ゴミ一つ落ちていない、綺麗なテーブルナプキンを前に、メートル・ドテルがたつ。綺麗に磨かれ上げた、ラマス・ミエット Ramasse-miette (パン屑を集める道具)を、またまた綺麗なモノグラム模様のナプキンの中から取り出して、振る舞う、完璧な仕草。寓話は、穏やかで、余韻が長く、勤勉だ。
ラマス・ミエットが、白いコットンの海を、泳ぎ、何度も行っては帰ってくる。そして、紋織りの入れ物の中へと、戻って行く。
これこそ、パラスレストランの現状だ。そんな馬鹿げだ仕草は、メートル・ドテル本人をも、楽しませる。意味はないが、なんとも愉快なジェスチャーは、他を探せば、たくさんあるだろう。一人で店に入ったのに、アペリティフは飲むかと聞いてきたり、フランボワーズの下に、ミントの葉を飾ったり、ワインの栓のにおいを嗅いだり。
今日の、僕の馬鹿げた行為はというと、写真のとおり、山のような生クリーム!中身が見えないくらいの生クリームを、もちろん僕は平らげた。最高の悦楽。ポール・ボキューズでの一こま。
Photos / F.Simon
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