レストランは、始まりが肝心だ。
カウンターはフレッシュで、鏡は我慢できないくらいピカピカで、期待が本日の一皿の曲線のなかで膨らむ。それは、スペクタクルの開幕が間近に迫った時に起こる、静寂や轟の声に似ている。
厨房では、心配性が混ざったアドレナリンのせいで、突飛な額の借金やかなり重いリスクのことさえ忘れてしまっていることだろう。
うまくいくかいかないか?
誰一人としてその答えをもっている者はいない。
電話が鳴り、知り合いや客がやってくる。さぁ始まり始まり。
この手のアバンチュールは、間違いなく後戻り出来ない。
壁に突き当たって砕け散るか、大空を楽しむかだ。
今日、15世紀末のデヌエット通りで、バスク地方料理のインスピレーションを受けたレストラン、アファリアにやってきた。
前菜/フランスではよく、三角に切ったパンドミの上にランプフィッシュの卵をのせたら、タパスだと思い込まれる場合が多い。これは、ちょっと早とちりで要領が悪く、ひどくグルメな、異世界の話であることを知っておくべきだ。
タパスは、食材が生気と快活さの中を走る、一口サイズの食べ物だ。唐辛子のきいたイカ、エビのポワレ、しゃきしゃきの野菜。食材が自らすすんで口に入ってくるような、活発な動きのある一品。
ガスコーニュ産豚の背肉のコンフィ、野菜のココット添え。
自分で皿に盛るか、相方に皿に盛ってもらうか。二人前が一皿になったこの手の料理には、常にいきいきとした喜びを感じる。背肉がとろけ、縛られない魅力的なこの一品は、現在、親しみ深い料理を代表する新しい一皿となった「野菜のココット」、つまり秋の喜びとともにサービスされる。鮮度が高く、胃に優しく、ややこしくないこの料理は、母性の香りが漂う栄養高い一品だ。
デザート/すこしぐにゃぐにゃしていたが、感じの良いりんごのパイ。
客層/15区特有の無気力な雰囲気の中で、その夜は、サポーターやテーブルについた友人たち、サービスがすすむにつれて声高になるあちらこちらのカップル、そしてぶんぶんうなる合意の叫びが行き交っていた。
サービス/オーナーが厨房から電波をおくっている様子がこっちにまで伝わってくる。それには共感できるし、感動さえしてしまう。結局、これこそレストランに必須な要素。感情。
うまい?/誠実な、本物の料理。昼は14時になるのを待ちわびず、いいセンスが感じられ、アクセントのきいた勇敢な和は、解放されて機嫌のいい雰囲気の中にぴったりだ。
価格/19ユーロから選べるコースメニュー。夜はアラカルトのコースで22ユーロ。新学期に出会った、いいレストラン。
行くべき?/OUI !
AFARIA
15, rue Desnouettes - 75015 Paris
T. 01 48 56 15 36
日・月昼休み
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