今回の旅では、奇抜な料理に面食らうことが多かった。
強い時差ぼけと、月や太陽の動きなんかに負けないぞ、という僕の体の強情さが戦う中、今回は2件の店で、驚異の体験を味わった。
一件目は、大阪のナカムラシェフの店での出来事。
ドミニク・コルビシェフの気遣いのおかげで、新オープン後、初乗り客として僕はその店へ向かった。
総勢15人。花束が溢れかえっていた小さな店の入り口が印象的だった。
2時間続いた僕らの食事は、やさしさと鋭さが両方こもった料理のフェスティバルだった。小さなサラダから、さしみ、すし、だし汁、肉料理。シェフは光を放ちながら、先験的にカウンターの中に佇んでいた。
今回二つ目のショックは、六本木ヒルズにある「八坂通り An 京割烹」での食事だった。
ここは、京都の名門料理屋の姉妹店。実はここへも後ずさりしながら足を運んだ。疲労とショッピングセンターの贅沢がまざった、厳しい鞭打ち。この建物のモダンさと効率の良さには毎回頭が下がるのだが、今回の僕の疲れたビジョンの中では、それらはゆっくりと崩壊していった。
日本酒が後押しして、ほたるが僕の目の前を飛び交う。
そこには、亀からとったコンソメの中にフカヒレが浮かんでいた。ショウガのきいたあわびのスープや、抹茶のブランマンジェ。
僕は、再び後ずさりしながら店を後にした。
キダ・ヤスオシェフの仕事ぶりはみごとだったが、勘定は恐ろしかった。その晩、3人で訪れた僕らは2人で割り勘しても僕の持ち分は4万2千円にも跳ね上がった。
T. 03 5772 0067
特に、新しいルックのナカムラさんには感激して頂けることだろう。キダさんに関しては、白い仮面をかぶっていたが、かなりバスター・キートン。2人ともかなりいける人柄だ。
Photo/F.Simon
T. 06 6738 0515
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投稿情報: Samon | 2008年7 月 6日 (日) 12:10