隣りのテーブルに、一見、愛人か亭主かとみられる男から、冷酷に扱われている女性が座っていた。 額にかかる前髪が、男の怒りから身を救い、明らかな心の痛みを隠していた。
奇妙な前菜を筆頭に、食事は特筆するものではなかった。 スカンピで覆われた、スパゲティーの揚げ物。 これがシェフの得意料理であることは明確で、デリケートなその才能が、よく表現されている。しかし一方で、黒いソースがテーブルや衣服を台無しにしてしまい、客を気まずい状況に追いやっていた。
残りは、まぁ普通にうまい。 デザートには、クリームとコーヒーでできたカプチーノのようなものを頂いたが、ここでようやくイタリアを思わせるように、ずいぶん気前がよかった。 でも、ちょっと自己評価が高すぎるかもしれない。 www.ilcalandrino.jp
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