よく、食べ物は、人を興奮した状態へ追いやる力をもっているかもしれないと、疑ってしまうときがある。
今晩もまた、エンポリオ・アルマーニカフェで、僕はそんな状況の中にいた。
何も特別な要素はなかった。
法外な価格で打たれた見事な会計、勢いがかったノイローゼ状態の客層、メニュー、ワインリストにはトスカーナ、マレマのロダイ2004年もの。
火花が飛びちり、言葉が勝手に道を開き、やめておけばいいのに高速道路の連絡路を逆走している感じ。
こんな時はどうしたらいいのだろうか。
助手席の背もたれに腕をまわし、脊髄をよじらせて、バックギアをいれるか。
もちろん、それは邪道。
突っ走って、全部灰にしてしまおう。
結局、作り立ての端整なコーヒーアイスクリームを前に、一人で食事を終えることになった。
Emporia Armani Caffé
149, boulevard Saint Germain – 75006 Paris
T. 01 45 48 62 15
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