新しくオープンしたフーケッツのレストラン「ル・ディアン」について、しきりにその感想が聞きたいとせがまれた。
「クロークでは店員が服を間違え、失望感が悲惨に増したところで、車まで間違えられた。料理も最悪だったから、このレストランについての批評を楽しみにしている。」
異常なまでのオープニングセレモニーを開催したレストランには、要注意しなければならない。場所が蝕まれている。
アドレナリンやタルクが上昇したこの手のレストランは、激しく進路を変えながら突っ走りがちだ。観客を圧倒させたかと思うと、いきなりぶっ倒れて、帝風にひざまずく。彼らが、額の汗を拭き、かつらやシャンデリアやソースの最終調整が終わるのを、素直に待っていいた方がいいかもしれない。
結果は?
マンゴーのソース、火の入れ具合、鮮度、のどれをとっても完璧だった帆立貝の一皿を除いて、その夜はさんざんな目にあった。
クーラーがききすぎていたから文字通り凍えてしまい、冗談で熱いワインを頼んでみたら、ソムリエはにこりともしなかった。
一方で、「そんなに高くなく」ていいワインを選んでいたら、ソムリエは165ユーロする Volnay 2001年ものを勧めてきた。
少なくとも、僕の耳は驚異で暖まったかもしれない。
ソムリエの立場にしてみれば、それぞれのワインに恐ろしくも時価の6〜7倍の値段がついた、不幸なワインリストで仕事をしなければならない。(3倍でもすごいのに!)
苦心の跡が伺える複雑なアミューズ・ブッシュが下げられた瞬間、テーブルの大きさが急に大きくなったように感じた。たしかに幅はあるものの、フーケッツ風に少々騒々しく、ちょっとだけけばけばしている。
それは、この不思議な黒豚の背肉、キャビア添えの一皿が象徴していた。(2人で135ユーロ)。
アイデアは横柄気味(豚に真珠!)。そして、口にしてみたら、あきれるくらい無意味の一品だった。
素朴さがそのうまさとなるはずの豚肉に、凍ったキャビアが、正面から穴をあけ、牧歌的な素質を持った天空へと豚を連れて行くエレベーターのケーブルを、悪趣味にものこぎりで切りおとす感じだ。
このエレガントなカオスのなかで、サービス陣は今だにそのブランド名を追いかけ続けながら、賞賛に値する献身の姿勢で、虎の調教師みたいなグロテスクなコスチュームに耐えている。
最新ニュースは、やり方がもうすぐ改新され、自尊心がやっと戻ってきくるだろうということだ。
知っている人がいるのかいないのかはわからないが、真ん中の大きなシャンデリアと、(伝票のギャングが現れた瞬間、散った物に違いない)小ランプの小さな金の葉が、修理に出されていた。
合計344ユーロ。
このレストランには、少なくともエスプリがある。
Le Diane
le restaurant du Fouquet’s
46, avenue George-V - 75008 Paris
T. 01 40 69 60 60
PHOTO : LUCIENBARRIERE.COM
コメント