世界的に有名になるためには、星を返還するなんてもってのほかだということを、ゴルドン・ラムゼイは心得ている。星の数18個(世界一)のジョエル・ロブションや15個のアラン・デュカスみたいに、集められるだけそれをかき集める哲学である。彼自身、すでに10個もの星を獲得している。
彼は世界中のどこにだって姿を現す。ロンドンには、Maze、Narrow、Noisette を始め15件ものレストランを所有し、東京、ハリウッドやニューヨークにも店を構える。
そんなことだから、トリアノンパレスを、ゴルドン・ラムゼイが仕切ることになったのも、自然な成り行きだと思ってしまう。レストランは、批評好きなパリジャンで溢れるだろうが、その一方で無気力なパリジャンは、彼の料理を味わいに足を運ぶことは一度としてないだろう。
うまいのだろうか?
どうお考えか?
ゴルドン・ラムゼイは、素晴らしいシェフである。
技術を持ちあわせているだけではなく、頭脳もあって、その上旅行好きときた。フランス人シェフとは正反対に、愛国主義のナルシズムがなく、あちらこちらから、いい材料をくすねてくる。世界が彼の市場となって、他人のアイデア(たまには自分のアイデアも)のおかげで、よりいっそう自分の料理の価値を増している。日本の椎茸を使うかと思うと、こっちにはオリーブやオマールやパルメザンチーズが顔を出すありさま。
歌手のローラン・ヴールジー Laurent Voulzy がハーモニーやジミック、音楽的雰囲気をかいつまんだみたいな雰囲気だ。ゴルデン・ラムゼイの料理は、僕らに何かを語りかけてくるような料理で、複雑ではない。誰でも理解しながら味わえる料理だ。フランス料理辞典は必要なく、背中に傘を背負わなくても把握できる。
明白で、心地よい。そして大抵うまい。
ガストロノミーレストラン「Gordon Ramsay au Trianon」の正規オープンは2008年3月26日。
火曜、水曜、木曜はディナーのみで、19時から21時30分。
金曜と土曜はランチとディナー。日曜と月曜は定休日。
「シェフのテーブル」は、厨房正面に面したところで、6〜8人席の個別テーブル席。
T. 01 30 84 55 55
ラ・ヴェランダ La Véranda は無休。
朝食/7時〜10時30分。ランチ/11時30分〜14時。ディナー/19時〜21時30分。
T. 01 30 84 55 56
Photo DR/www.gordonramsay.com
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