SIMON SAYS! JAPON

トロワ・オビュスの失態

僕が応援するナントのサッカーチームが、パリサンジェルマンに１対０で負けたから、せめてもの救い、胡椒ソースがのったステーキとりんごのタルトに励ましてもらえると思っていた。
大間違い。
オーテゥイユ界隈でも著名なレストラン「トロア・オビュス Trois Obus」。
完全にいかれてしまっていて、だらしないフライドポテトを取り替えてもくれず、薄いとは名目だけのタルトに倒れ込んでいた。
少なくとも、大画面テレビ上にはゴールの模様が放映されていたが、この日は全面的に裏切られた気分だった。
お人好しのだけど忙しすぎるサービス。

新「ラ・パイヴァ」

今流行りの要素が全部揃ってオープンしたレストラン。
インテリアはガルシア。メニューは、フーケッツの匂いがしてブラッスリー風の料理が良くなった感じ。
ナイトクラブ好きや閑人向きだ。
いかにもシャンゼリゼ。

La Païva
25, avenue des Champs Elysées - 75008 Paris
T. 01 53 53 25 25
Map
Photo / F.Simon　カメラさえピンぼけ気味。

ニュース：サンス市でミヤビの信じられない賭け

サンス市のこの店はかなりいい。
大阪、東京のドミニク・コルビィとパトリック・ゴティエが肩を組んでオープンした、フランスと日本がフュージョンしたレストラン「ル・ミヤビ」。
コンセプトは居酒屋と懐石と割烹の間。ブルゴーニュ産の食材を使用し、日本料理からインスピレーションを受けた小皿料理が、カウンターで頂ける。
エスカルゴとフォアグラの串挙げ、豆乳で仕上げられた大麦のリゾット、ニューカレドニア産のえびとそのえびのチュイール（写真）一本釣りのすずき、ムール貝のコンフィ、シャラン産の小鴨の蒸し煮、等々。
はっきりいって、ずいぶん大胆で本当に成功している。
着物姿の綺麗な日本人女性がおもてなし。シェフは東京から本物の透き通っただしをもってやってきたようだ。
コース料理が２４ユーロから。

Le Miyabi
1, rue d'Alsace Lorraine - 89100 Sens
T. 03 86 95 00 70
無休

Photo/F.Simon

ゼブラ・スクエアのティエリー・ビュルロ

５０万ユーロが費やされた５週間におよぶ改築工事を終え、ゼブラ・スクエアが再オープンしたのは、ほんの数日前だ。
そこで、店の賃貸管理人に新しく仲間入りしたのが、ティエリー・ビュルロ Thierry Burlot。ニコラ・シャルレrue Nicolas Charlet 通りのレストラン「キャンズ Quinze」とクリスタルルームのシェフである。
インテリアはホテルと同様で、ホテルの穏やかなラウンジを延長した感じ。ビュルロらしい料理が並ぶ、かなり勉強されたメニューは、繊細で発明的ではっきりしている。
９ユーロから頂けるスナック系料理が多々。それ以外にも、マトウ鯛のブリゼやバニラ風味のラングスティンのグリル、一流のリゾット等、けばけばしくて明るい料理が頂ける。
値段も同じくラウンジ。１人最低６０ユーロ。
地下にあったクラブも改装されて、Nuxe のスパがオープンするらしい。

Zebra Square
3 place Clément Ader - 75016 Paris
T. 01 44 14 91 91
Map

Photo / この日は家にカメラを忘れてきたからこんな写真で申し訳ない。

最新の注目ビストロ アンティーブの「ラルモワーズ」

日曜の朝に出るこの街のマルシェを見れば納得できる。
そんな、グルメなでのんびりしたこの街でも、いい店はしっかり見極めるべきだ。
そこで最新のビストロを紹介。
レストラン「ラルモワーズ」で頂く３４ユーロのコースメニュー。トマトのリゾット、牛のはらみ肉のネギ風味、そしてデザート。
ちいさな店内は綺麗で明るい。
要予約。

L’Armoise
2 rue de la Tourraque – 06600 Antibes
T. 04 92 94 96 13 又は 携帯 06 60 21 44 05
Map

Photo/F.Simon

ステュワートが本を出版

前回までのエピソードをご存知ない方のために、このステュワートは、キャベツのスープやイノシシのテリーヌ、チーズが盛られたワゴンから生まれてきたような架空の人物ではないことを確認しておきたい。名前はゴチィエ・パジョナ Gautier Pojona。エールフランスのキャビンアテンダントシェフとして活躍している。
彼は今まで、どこから見つけてきたのか疑問に思わせる店を、よく僕に投げつけてきていた。サンジュスト・サンランベール（ローヌ・アルプ地方）の店、トゥルニュ（ブルゴーニュ地方南部）の店、モンソー・レ・ミン地方（ブルゴーニュ地方）の店等々。

彼が推薦するレストランはたいてい、電車を乗り換え、ミシュランガイドを何冊も抱えて、高速バスを乗り換えてたどり着く、一つ星のホテルしかないような土地にある。
そしてそれらの店は実際にいいレストランである。そして時には、サンス Sens 市にレストランを構えるパトリック・ゴチィエ Patrick Gautier みたいに、素晴らしすぎる料理に巡り会うこともできる。翌日、昨夜のディナーでの出来事を思い返すと、滑稽すぎて掲載できないような状況。

さて、ステュワートが書き終えたばかりのこの本が「空飛ぶエピキュリアンの日記 Le Journal d’un épicurien volant」。
ページをめくるか否かの段階で、ミュージックボックスは音色を発する。だから表紙にはすでにこんなフレーズが ：…魚のセビチェ、ペルーの料理、ライムのマリネ…

フランス生まれ。
２００８年７月１４日初刊。１７ユーロ。
Éditions Les Nouveaux Auteurs

もっと詳しく知りたい方は www.lefigaro.fr（仏語）

コントワール・ド・ロデオン 値段上がった？

アルデンテに火が通って軽い塩味の夏野菜。ヤリイカの鉄板焼きにイカスミのピラフ添え。ビゴール産子牛の尾っぽにニンニクのムースリンとソローニュ産のジロール茸添え。
そしてチーズのセレクション。締めにはソリエス産イチジクの冷たいスープ、ヴェルヴェーヌの香り。
これだけでもすごかったのに、この夜は稲光がパリを覆った。だからテラス席は片付けられたが、中の席もそう悪くはない。
一つだけ気になったのが、平均価格が５０ユーロ前後に値上がりしたことだ。
それでも、ここはいい店であることに変わりない。

Le Comptoir de l’Odéon
9, carrefour de l'Odeon - 75006 Paris
T. 01 44 27 07 97

Photo/F.Simon

ジャン＝ポール・エヴァン 人殺しのムース

ようやくジャン＝ポール・エヴァンのサロン・ド・テが再オープンした。こうなっては、小さなスプーンの小槌が振られる姿を初日に見に行かなければ意味がない。

なるほど。
ミルク風味のムース・オー・ショコラは、むちゃくちゃ軽くて空気みたいなのに、チョコレートの味もしっかり効いている。カカオ豆の味を再構成させた見事な仕事ぶり。
赤果実の香りがちょっとだけするのは気のせいか。本当は、何も混ざっていない正真正銘のチョコレート。

いい時間だった。
もうすぐ新作が発表されるらしいが、チョコレートのタルトを頼むなら、迷わず温めてもらおう。
こうしているうちに、完全にコントロールが狂ってくる。まるで、パンを真正面から投げつけられたみたいに過酷な感覚。客観的に見れなくなって、チョコレートの壁に埋まってしまった感じ。
これはおかしな経験だった。
完璧に闖入されて、舌は大きなショックを受けていた。

チョコレートは静脈に注射をうつくらい過激で、やっぱり阿片くらいうまいものだ。

Jean-Paul Hevin
231, rue Saint Honoré - 75001 Paris
T. 01 55 35 35 86
www.jphevin.com

Photo/F.Simon

アルデンテ バベーネ

パリ６区でお勧めアドレスが少ないと、批判の声を頂いた。OK。
それでも今回は７区の一件をご紹介。
その名も「アルデンテ」。
どこかで見たことがあるけど思い出せない有名人たちが顔を見せる。なんと言っても経営者が、ヴァンサンの兄弟、シルヴァン・ランドンだ。
写真は、ロケットサラダとブレザオラ、トマトとモッツァレラがのったピザ。なかなかいいものが頂ける。
店内はしつけのいい子供のやスリッパ姿の裕福なご近所さん雰囲気だった。
つまり、ぬくぬくのドルチェヴィータ。

Al dente
38, rue de varenne – 75007 Paris
T. 01 45 48 79 64
日月休
Map

Photo/F.Simon