クレープがうまくて話題の2件は、双方パリ6区のオデオンにある。ラ・コンパニー・ドゥ・ブルターニュとラヴァン・コントワール。
第一者は、デコが世界的に有名なロション一家と組んだ、カンカル出身旧3つ星シェフのオリヴィエ・ロランジェ。第二者は、コントワール・ドゥ・ロデオンの、ハエのように素早いイヴ・カンドゥボルド。2人とも、ずいぶん真剣に勝負してるから、マッチが終わるのには時間がかかりそうだ。前者は、ミシュランからもらった星を丁重に返却し、後者は、ミシュラン調査員がくるのを待ちわびている。
ラ・コンパニー・ドゥ・ブルターニュ
雰囲気
かなりシックで、気の利いたブルターニュ音楽が流れる。完璧でスタイリッシュで、言うことなし。そのお見事さに、少しイライラくるくらいだ。
客層
マダムフィガロ連載の漫画に出てくる、良家育ちの三つ子ちゃん。
クレープ
スタイルのあるクレープは、皿に広がっているものすべてに気品が感じられる。どうしてここにいるのか、という状況を把握していて、過度さがない。基盤がよくて悪くないが、一皿食べた後で、まだ空腹を感じるかも。でもこんな空間にいたら、そんな感想でさえ下品に思えてくる。
プラス面は、フランス西岸のスタイル。
マイナス面は、しつけの良さがかえって冷たく感じ、とけ込めないムード。
小さなガレットが 9,50 ユーロ。大きなクレープが 11,50 ユーロ。
La Compagnie de Bretgne
9, rue de l'Ecole de Médecine - 75006 Paris
Tel : 01 43 29 39 00
無休 12時から0時まで
アヴァン・コントワール
雰囲気
気さくで開放的。口にものを運ぶのに、隣の人と肘がぶつかる代わりに、肩がぶつかるような狭さでは、丸椅子を置くスペースさえない。カウンターの向こうでは、ストイックでまじめで、機転のきく店員が、タンカ兵のように働いている。
客層
ル・コントワールに入りきれなかった客が流れ込む。彼らは、偶然ここに来た訳ではない。夜は、オートストップをするみたいに、グラスをあげて乾杯。
クレープ
でかいコルネ状に巻かれて出てくる。まるで応援メガホン。これに人目を気にせず、頭からかぶりつくわけだ。
プラス面は、巨大なコーンになった熱々のクレープが発する和やかさ。
マイナス面は、バターで手がべたべたになること。
価格 4,50 ユーロ
Avant Comptoir
3, carrefour de l'Odéon - 75004 Paris
Tel : 01 44 27 07 97
無休9時から0時
勝者
そのでかいクレープを口一杯につめ込まれて、アヴァン・コントワールのKO勝ち!
Photo/F.Simon