この類いのレストランでは、かなりの注意が必要である。パリ14区のレストラン「セヴロ」。
上質の肉と最高のフライドポテト。店のドアを開けると、深々とお辞儀をして迎えられるような気がしてしまうが、大間違い。ここには、いかにもパリらしいレストランの情景が映し出される。この数行を書きながらも、けいれんを起こして逃げ出していくだろう読者が想像できる。なぜなら、オーナーのムッシュー・ウィリアムは、なんとも難しい性格の持ち主だからだ。インターネット上で飛び交う、彼の悪評判はすごい。予約の電話に、「7時半ねぇ。9時には食べ終わってくださいよ」なんてざらじゃない。パリではよくある話だが、屈辱だ、と受け取る客も多く、売り上げ目的の応変な待遇や、決まりきった表情の商売レストランを好んでしまうのが現状である。なんとも残念な話だ。なぜなら、セヴロは、指折りのレストランであるからだ。
内気なムッシュー・ウィリアムの笑顔を目にすることは、滅多にない。自分の仕事に夢中になりすぎて、肉に文句を付ける客から、その料理を勝手に下げてしまったこともあるに違いない。
ムッシュー・ウィリアムは、60歳を迎えた。前セヴロ・ビスのガエルに、選手交代を始めている。ムッシュー・ウィリアムは、肉の成熟を管理し、客席に肉が最高の状態で届けられるよう、常に目を光らせている。常時肉食ではない僕が、肉が食べたいと思ったときに向かうのは、必ずこのレストランだ。完璧な焼き加減は、生肉に近いと言ってもいい。ここまで過度であると、もう情熱の域に入ってしまう。そんな彼への尊敬の念から、こちらが、ムッシュー・ウィリアムになってしまいたいくらいだ。
Le Severo
8, rue des Plantes
75014 Paris
Tél. : 01 45 40 40 91
約60ユーロ
Photo/F.Simon
上質の肉と最高のフライドポテト。店のドアを開けると、深々とお辞儀をして迎えられるような気がしてしまうが、大間違い。ここには、いかにもパリらしいレストランの情景が映し出される。この数行を書きながらも、けいれんを起こして逃げ出していくだろう読者が想像できる。なぜなら、オーナーのムッシュー・ウィリアムは、なんとも難しい性格の持ち主だからだ。インターネット上で飛び交う、彼の悪評判はすごい。予約の電話に、「7時半ねぇ。9時には食べ終わってくださいよ」なんてざらじゃない。パリではよくある話だが、屈辱だ、と受け取る客も多く、売り上げ目的の応変な待遇や、決まりきった表情の商売レストランを好んでしまうのが現状である。なんとも残念な話だ。なぜなら、セヴロは、指折りのレストランであるからだ。
内気なムッシュー・ウィリアムの笑顔を目にすることは、滅多にない。自分の仕事に夢中になりすぎて、肉に文句を付ける客から、その料理を勝手に下げてしまったこともあるに違いない。
ムッシュー・ウィリアムは、60歳を迎えた。前セヴロ・ビスのガエルに、選手交代を始めている。ムッシュー・ウィリアムは、肉の成熟を管理し、客席に肉が最高の状態で届けられるよう、常に目を光らせている。常時肉食ではない僕が、肉が食べたいと思ったときに向かうのは、必ずこのレストランだ。完璧な焼き加減は、生肉に近いと言ってもいい。ここまで過度であると、もう情熱の域に入ってしまう。そんな彼への尊敬の念から、こちらが、ムッシュー・ウィリアムになってしまいたいくらいだ。
Le Severo
8, rue des Plantes
75014 Paris
Tél. : 01 45 40 40 91
約60ユーロ
Photo/F.Simon
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