もうお分かりかもしれないが、ファサノホテルでは強烈なショックを受けた。
街の中心部に位置するこのホテルのレストランで、鳥肌がたつくらい歓喜にみちたディナー。今回の経験で、いいレストランはひっくり返るような料理を出すだけではないことがわかった。
必須事項は何か。
内装(モコトみたいに真っ裸か、ここみたいに最高級のもの)と、やるべきことがなされているサービス、そして親切な食べ物。
蟹のサラダと子牛、ティラミスはイタリア製で、理想的な心遣いがなされていた。ピエモン産のワインは、僕のハートを爆発させるくらい幸せ一杯で、実に快楽で純粋な幸福感。
僕は料理を口に運ぶだびに、今年一番の食事を口にしている一時一時の現実を味わっていた。
満喫した人生の自我分裂感の中で、僕は店を後にした。それはまるでヘンリー・ミラーとアナイス・ニンのラブレターみたいだった。
すっかり酔っぱらってはいたが、街のど真ん中にいた僕はその後パーティーにも立ち寄った。
しかし僕の思いはもう、帰路の飛行機の中で、またブラジルに戻ってきてこのレストランで見本となる料理を食し、華麗で甘美な瞬間を楽しむことを夢見ていた。
なんて温厚なイエス様。
Hotel Fasano
rua Vittorio Fasano
T. 38 96 40 00
www.fasano.com.br
Photo/F.Simon