ほこりっぽい、ハズビーン、つまらないホテルであることは、前もって知らされていたが、過ぎ去った時代の中で静止したままの、伝説的ホテル・バロンに、気品は見られなかった。
ローランス・ダラビー、アガタ・クリスティー等、想像できるような著名人が名を連ねる。
傾いたバー、まずい朝食、ノスタルジーに浸れる期待通りの部屋など、心を動かされてしまうジャンルのホテルの一つだ。伝説好きや雰囲気のある場所が好みなコレクショナーには最適なホテルである。
アレッポに来て、ジュリアン・ウェイスのマヌルークに行けない方には、ここが僕のお勧めホテル。
一泊80ドル。
ガレージでは、感激に思わず悲鳴をあげそうになった。薄明かりのなかでシボレーがまどろんでいたから。
今回の旅が、僕をさまざまな心理状態に追いやっていたことを、確信し始めた。
Photos/F.Simon