レストランで最高のもてなしを受けるための50のレッスン
By F.Simon
いつか、このサイトを立ち上げた、ファニー・ベシオダとその仲間達、アマンディン・ベシオダとアン=フロー・ブリュネと、僕の出会い話をしようと思う。なんともおかしい。それ以来、たまに合流することがある。前回は、アンティーク屋を改造してできた、無防備なレストランにて。そこは、パッシー通りの24番地と26番地の間にあり、本物の隠れ家といった風貌の店だった。黒板メニューから選べるランチは、アボカドとエビ、子牛のブランケット、クリームキャラメルのメニューで、18ユーロ。会うと、お互いの共通点について話しが盛り上がる。つまり、好奇心やエネルギー。お互い、話の途中で割り込んだり、励まし合ったりする状況が、お分かりだろうか?ガイドブック「My Little Paris, le Paris secret des parisiennes マイ・リトル・パリ、パリジェンヌ達の秘密のパリ」は、どんどん進展する気まぐれ調子で、おもしろおかしく仕上がっている。Le Chêne 出版から14、90ユーロで発売。Photo/F.Simon
Les Desserts de Paul BocuseLégumes Oubliés d Hier et d Aujourd HuiBy F.Simon
ユーゴ・デノワイエと、初めて出会ったときのことは、今でもよく憶えている。もう数年も前の話になるが、僕が信頼をおくブルーノ・ヴェルジュが、どうしても僕に会わせたい人物がいる、と話してきた。紙面で描写する人物と親しくなるのは、好きな方ではない。そうしないことが、僕の方針でもある。しかし、ありがちなことに、僕は「違法」も大好きなタイプである。アラン・デュカス、ピエール・ガニェール、レデン・ロック等の人物と共著したことは、全く後悔していない。毎回、すごい経験を味わっている。そしてまた、当人の本を著作したからといって、アラン・デュカスが経営するレストランについての評論が、左右されたわけではない。アースリン出版との契約確立の時期をみて、実際、僕はそれを実行した。翌日から約12ヶ月間に渡って、彼との関係はかなりぎくしゃくしてしまったけれど、それは仕方のないことだった。その日のディナーの誘いを、僕は受けることにした。しかし、直前になって、自転車で転倒したからディナーには来れないと、ブルーノから連絡が入った。レストランにキャンセルを入れるには遅すぎた。そんなわけで、僕らは7区にあるビストロで、一対一のディナーをとるハメになった。僕は、病的なほど恥ずかしがり屋な質で、解凍されるまでに、数杯のシラーを飲み上げなければならなかった。しかし相手は、なんと過激に親しみやすいタイプで、僕は徐々に本来のバッドボーイへと変身していった。ユーゴは、その鍛えられた性格、謙遜な態度、彼らしいエネルギーといった、特有の気質をもった人物だった。その後も何度となく再会しては、あれこれつまみながら、数本のワインを開けた。そのうち、僕らの関係も「友人」と呼べるほどになった。だから、彼が本を書いてくれないか、と頼んできた時も、僕はすんなり引き受けてしまった。きっと、多くの非難をかうことだろうが、そんなことは内心気にしていない。何せ僕は、矛盾が好きなタイプである。矛盾は前進を妨げるだろうか、とさえ疑いたくなるくらいに。是非この本を試して頂きたい。一度開いたら、放っては置けなくなるだろう。Photo/F.Simon
立ち止まってみたくなる時がよくある。今までしてきたことを、ざっと振り返ってみるためにも。こんなに早足で進んで、誰が追いかけてくるというんだ。僕の前を滑走する奴がいるのだろうか。その時が来たら、立ち止まってみるのもいいかもしれない。舌平目のムニエールの前では、何度もやったことなんだが、答えは見つからなかった。上手にさっと消えて行く、美味な幸せ以外には。だから、スピードを上げて、ページをめくり、次へ進もう。さて、僕の近況情報はというと。ユーゴ・デノワイエとの共著本が、アースリン出版からでる。改めてここでもお話しする予定だ。又、僕が首を長くして待っているもう一冊は、ロベール・ラフォン出版から発売予定の「Pars!」。2011年2月に発売が延びた。旅行、孤独、逃走がテーマの、かなりプライベートな内容に仕上がった。他には?ベイルートと東京の取材。そして、ディレクト・ユイット局で毎週日曜の朝に放映中のテレビ番組。当局関係者の話によると、僕の番組は好評で、視聴率もぐんぐん伸びているらしい。彼らもプロだからね。それから、他にも出版企画が。ジズー・バヴォワロー Gisou Bavoileau とベルトラン・オーボイノー Bertrand Auboyneau と共著の本「Bistrot」がフラマリオン出版から。そして、シェーヌから出版予定の、今書き始めたばかりの料理本は、仮タイトルが「Cuisine de l'indulgence à destination des générations futures」。また、デスクの引き出しで長く温められている小説は、40年代の中国と日本を舞台にした、1人のカミカゼのストーリー。この小説は、僕を付きまとい、ぎりぎりまで追いつめ続ける。精神科医の診断なんて必要ない。キーボードとアルファベットがあれば、僕は十分だ。それから、「Pique Assiette」がブラジルで翻訳されるのと、日本が「innocents la bouche pleine」を翻訳する。そしてもちろん、皆さんとの日課、このブログがある。毎日、もう少したくさん話すようにして、書く量を減らそうかと思っている。写真は、フレデリック+トマ+シモンのバッドボーイ仲間で、最高のディナーをサチュルヌにて味わう前のワンカットだ。Photo/F.Simon