日本政府が発表した事項に対して届いた匿名希望の郵便物が、何か一騒動あることを予感させた。
日本の貿易を扱う特別機関のジェトロが、「本物の日本料理レストラン」の証明書配布を決定した。
ここまでは、とくに驚くことではない。「アジア料理」と名をあげる、中華料理やベトナム料理のレストランが、日本料理までメニューにあげることをやめさせるきっかけになるようだったら。
その冊子自体は、とくに改めて話題にあげるほどのことはではない。ただ、寿司屋が50件ほどしか掲載されておらず、その上、ラーメン、カレー、焼き鳥屋は、一ランクさがって、次号での扱いになっていることが、気にかかるが。
その中には、中国人が経営している日本料理レストランもある。こういう事態は、逆に、どんどん奨励されて起こるべき率先した行動で、フランスのクレープ屋や、ピザリア、ウェンスタブ等のレストランも、そんな行為に刺激されて、本物をもっともっと追求するべきだろう。その一方で、クリエーターは、王道から一歩はなれ、自由に製作した爆弾を、客に押し付けている。品質基準証なんて気にせずに、安いワインを生み続けるワイン畑のように・・・。
以前、中国系レストランは、その調理場の不衛生が、大スキャンダルになった。その騒ぎの後、彼らは、ナプキンと雑巾を別々に扱うよう、心がけるようになったようだ。そして、数件の中華料理レストランは、その名誉を取り返そうとがんばったりもしたが、残念な話、それも無駄足に終わったようだ。
自分の仕事に対する誇りというより、商業的な便宜主義によって、繁栄し続けるまずいレストラン。その増殖危機にさらされているとき、 料理界の人間が、何かを変えようと動き出すことは、当然の傾向だろう。
このタイプのまずいレストランは、食材の品質が悲惨で、パニーニと寿司とクレープと春巻きを一緒に売っているような、野蛮なやり方をとっている。
寿司屋は、まず何より衛生が第一だ。生魚は、鮮度が大切で、厨房がかなりきれいでないと調理できない。その上、客の前で魚をさばくジェストも重要で、それは今日昨日に培った技術ではなく、10年以上も修行を積んだ成果によってなされるプロの技である。彼らにさばかれた魚は、斧でざく切りにされ、シニズムなしに、客に売られている味のない魚とは、見た目も味も全く違う。一方で、そんなまずい魚(寿司)に飛びつく客自身も、非難されるべき対象だろう。本物がまったくわからないパリジェンヌと、この手のまずいレストランは、体質がそっくりだから。
パリには、日本食レストランと称するレストランが 600 件も存在する。その中で、たったの十数件が、本物の日本料理を出している。
ル・コントワール・デ・オデオン Le Comptoir de l’Odéon, ヴィアレ Villaret, ポール・ベール Paul Bert, バラタン Baratin, バスクウ Bascou などの、いいビストロの評判をこれでもかというくらい耳にした今、無垢な冒険家が、異国籍料理への扉をたたく。そして、完敗し、涙で肩を濡らして帰宅することもある。
左岸の、アトリエ・メートル・アルベール Atelier Maître Albert。レストラン自体はかなり気の利いたものだが、量にずいぶん思いやりが欠けている。その証拠に、19,50 ユーロの、ローストチキンとピュレの一皿は、我々の無垢な目には、かなり貧相に見えてしまう。口も腹も一杯にならない。
でも、気にするほどのことではない。そんなひどい目にあった犠牲者の為に、今回は処方箋を用意したから!
シェ・ミッシェル Chez Michel。先週の月曜日に、絶頂に達した客席で、興奮する料理を食べた。コースが 30 ユーロ。もし、納得いかなかったら、カフェが店からのおごりになる。そんなことはありえないだろうけどね。
Chez Michel
10, rue de Belzunce – 75010
Tel 01 44 53 06 20
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