1)まずは、予約をする段階で、必ずカウンター席、それも寿司職人と向かい合わせになる特等席をお願いすること。これで、魚をさばく様子が丸見え!
2)腰を下ろしたら、魔法の一句「オマカセオネガイシマス」と詠うこと。寿司職人はその日で一番粋のいい魚を、どんどんにぎってくれる。気をつけなければいけないことは、寿司職人は、客の食いっぷりによって寿司をにぎるので、いい加減に腹が張ってきたら、食べる早さを緩めないと、永遠に寿司を出されるはめになる。
3)ちょっとだけ心理学者になったように感じるかもしれないが、寿司職人の前では偉そうな態度を取らないこと。もし、彼を困らせたり、無視しようものなら、お勘定の際、痛い目に遭うかもしれない。おまかせコースをたのんだのならなおさら。 大した会話のやり取りがないとしても、万事、尊重が大切。
4)寿司板のすみにのせられた緑色の小さな物体は、「ワサビ」だ。レホールのような、トニックで、消化を促進させるクリームのようなもの。通なら、青魚は「ワサビ」の代わりに、すりたてのショウガと一緒に頂く。
5)サケとエビは、なるべく断ること。大抵が冷凍物だから。その時点で、寿司職人は、あなたを注意人物と見なすに違いない!
6)寿司職人が持つ包丁を良く見ること。綺麗好きかどうかが一目で分かる。また、大抵の場合、彼自身の名前と作られた場所の名前が掘ってあるのが見えるだろう。 魚のさばき方によって素材の味が変わってくるのは本当の話で、包丁は寿司作りの上で、ものすごく貴重な存在だ。魚の皮と身の間に存在する薄い脂身の部分を考えてみたら、包丁の使い方によって、寿司の味が左右することが頷ける。
7)「ショウガ」の役目は?それは、後口をさっぱり洗い流し、次に頂く魚の風味をより敏感に感じるため、次の寿司が握られている間に頂く。
8)ヒラメのひれ「エンガワ」、脂ののったまぐろ「トロ」、青魚をさす「ヒカリモノ」、帆立貝の「ヒモ」、ショウガコンフィの「ガリー」は、挑戦してみるだけの価値はある。
9)飲み物は?。のどの渇きを癒すために、まずは日本産ビールではじめて、その後は、緑茶か、お酒を、お冷やか熱燗で頂く。重要なのは、食事の初めから終わりまで、暖かいものを、寿司と並行して頂くということ。僕らの胃は、こんな小さな思いやりに、喜びの悲鳴を上げるに違いない。 理論的には、寿司に合う緑茶は、コクのある風味のもので、酢のきいたものや生魚、ショウガをたべた後のお口直しの役目を果たす。先に上げた、いい寿司屋リストの上位あたりでは実行されていることだが、パリではめったにこの光景は見られない。
10)ちょっと日本語が使えるなら、なおさらいいだろう。チラシスシ(魚と海の幸が、酢飯の上に盛られた一皿)、サシミ(生魚。白ご飯が一杯ついてくる)、スシ(海の幸や、火を通したかマリネされた魚を、酢飯と一緒ににぎったもの)。レストランに入ると、「いらっしゃいませ!」と職人が投げる。おどおどせずに、「コンニチワ」と答えたらいい。
「メルシィ」は「アリガトウ」で、「アンコゥ」は「モット クダサイ」、「セボン」は「オイシイデス」、「スネパボン」は「アマリ オイシクナイ」、「サバ・コムサ、ジュスイ・ラサシエ」は「マンプク デス」等々。
写真/ Anne-Catherine Becker-Echivard
彼女の写真展が、パリ、ベルシーヴィラージュの Galerie Wanted にて6月17日まで開催中。詳しくは、www.wantedparis.com まで。
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