今日のランチは、足取り軽く、ジョエル・ロブションへ向かった。
六本木ヒルズのものと同様、パリっぽい雰囲気がただようレストラン。
悲しい黒衣装を羽織った料理人たちを前に、カウンターで料理を頂く。
厨房は、全員日本人だが、たびたび「ウィ、シェフ」と声をはり上げるのは、レストランによりフランス色を与えるためだろう。
アトリエで頂く大抵の料理は、シンプルなものだ。
厨房は裏側にあり、カウンターで料理の仕上げが行われる。
スペインのタパスのように、少量でサービスされるそれらの料理は、シンプルでうまく、難しく考え込まなくてもいい料理だ。
だから、このコースメニューがうまく行くが、必ずしもロブションの技術が再現されている訳ではない。
料理には、かなりマニアックで、プロシア人のようにめまぐるしく、目の色を変えてつくられた形跡を感じる。スイス製の時計のように、完璧に固定された不動の美さえもつ。
トマトとクルトンのガスパチョは、シンプルさの集大成だった。
しかし、僕が注文したのはうまそうな帆立貝のうすぎりがのったアスパラガス・・・。
気にしなくてもいい。
この類いの失敗はどこでもみられることで、笑顔溢れる気の利いたサービスの質に、影響を与えるわけではないんだから。
大きなレストランでは、大失敗にあたるかもしれないけれど、ここは「高級なスナック」。人間らしさをさらに加える材料にさえなり、どこか安心してしまうほどだ。
すずきのポワレや、赤果実のソースが添えられた、見ためもいいフロマージュ・ブラン等、残りの料理は、かなりうまくできたものだった。
すこし値は張るが、最終的に、うまいものを追求するエスプリが利いた料理。
何もコメントすることがないことに、少し動揺してしまうが・・・。
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