日本での15回におよぶ食事会戦が始まった。
今夜は、南麻布のヒラマツにて。
出発前、このレストランをよく理解するために、パリ16区のレストラン、ヒラマツへ足を運んだ。
効力と幻想のなかに仲間入りしたことを証明したいばかりに、誤解を生んでいたことを、毎回かわいそうに思ってはいた。
ここでは、なにか見せかけのようなものを感じる。
向上心は強く感じられるのに、料理自体がその意気込みに反映していない。ただおいしくあることだけを目指して、有名になることを気にしなければいいものを・・・。
前菜に、アスパラガスとハムとイカを和えた春野菜の一品を頂いた。手がよく込んではいるが、口の中でそれぞれの素材が風味を殺し合っている。
主菜には、スパイスとチョコレートで和えた、バニラ風味の鳩を選んだ。
これも同様。
鳩の風味を際立たせるために加えられた素材が、逆に鳩を無味のものにしてしまっている。主菜で盛り上がるはずが、逆効果。
このレストランの料理は、格好ばかりのもので、実際には、起動していない。
ガストロノミーの世界で、うまいかそうでないかの境界線を引く、人間的な何かにかけている。
レストラン全体的には、たくさんの才能を持ち合わせ、「フランス料理レストラン」として凛とはしているが、本物のフランス料理レストランには、まだ至っていない。
僕だって、ロックンロール歌手を目指すことだってできる。特別難しいことではないだろう。ただ、僕には、その為に必要な「怒り」と「反逆心」に欠けている。それは、努力して獲得するようなものではないし、コピーできるようなものでもない。
ともあれ、ここの会計はコーヒーも含めて、かなりロックンロールがきいて暴力的だ。
1万札の汁を絞りだして加えたら、よりシンプルでおかしいものになるだろうに・・・。
www.hiramatsu.co.jp
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