この店のドアをガラガラと開けながら、容赦のなく新鮮度の高い料理が、突然頭に浮かんだ。
この思い出は、昨日や今日のものではない。今では名前も、いつ訪れたかも忘れてしまっていた。
が、すぐに記憶がよみがえった。
僕らは、大将を目の前に、2人でカウンターに座っていた。
信じられないかもしれないが、まるで、ピンポンゲームをしている様だった。
僕らの空腹が、大将の創る料理に適応していく。
生きた小魚を捕え、串の長さに沿って刺し抜いた、恐ろしい料理。
奇妙であることはもちろん、無駄に残酷でさえある。
しかし、その料理がサービスされた時、自然の擬態に捕らえられてしまった。
魚は、揚げ油の中でうねりながら、泳いだ格好で凝固している。
味わい深いのは、最後まで続いた。
会計は、かなり手厳しい(日本酒の砲撃を加えて、2人で5万8千円)が、店を後にする胃は軽く(クレジットカードの中身も!)、心地いい。
丁寧に店員全員から挨拶され、歩道にでても、その素晴らしさにまぶたが熱くなり、歓喜の気持ちが滴る。
なぜ、日本はこんなにも愛情深い国なのか。
これは、深く頭を下げる業務員の礼儀等、飛行機が離陸する瞬間まで続く。
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