豪華パラスホテルに付属しているレストランの料理長ほど、毎日つらい思いを味わっている料理人は少ないだろう。
3つ星獲得を常に夢みているのがあからさまなホテルの支配人を、毎日背中に負っているのがその原因だ。その上、星なんて案外どうでも良かったりする客と、グレーの背広を着た隠然なガイドブックの視察人も、その重荷の要素になっているに違いない。
どうしたら、あっと言わせるような演出で、ホテルの幹部を安心させ、客にも好かれることができるのか。その上、時代にだって波長を合わせなくてはならない。わかりきっていることだが、これが意外と厄介だったりする。
今日、難解で暗示的な新しいブームが、料理界に到来している。
それは、食材を興奮させ、リュウマチ性舞踊病を思わせる四方八方な動きへと、料理を誘い込んでいる傾向だ。
ジャン=フランソワ・ピエージュ率いる「レ・ザンバッサダー」、ティエリー・マルクスの「コルディアン=バージュ」とともに、ホテル・ブリストルのエリック・フレションもこの一例だろう。
もうすぐ3つ星に手が届く、と言われ続けながら、まだその頂点に到達できない。毎回、髪の毛一本分の差で、セレクションから脱落している。
そんなわけで、又一回り大きなプレッシャーを今日も肩にかかえ、改善に励む、という訳だ。パラスの赤い絨毯の上で、足を絡めてしまうことさえ覚悟の上、リスクの高いクリエイティブな料理で、必死で勝負に挑んでいる。
続きは・・・(仏語)
Le Bristol
112, rue du Faubourg- Saint-Honoré-75008 Paris
T. 01 53 43 43 40
Dali au Meurice
228, rue de Rivoli-75001
T. 01 44 58 10 44
Photo/DR/ Dali/Le Meurice