目の前に広がる空は完璧に掃除され、空気は望み通りに透き通っていた。
あの犬は今夜は一度も吠えなかった。
にもかかわらず、2秒に1回断続するその鳴き声のリズムが、今でも僕の耳にこだましている。
ここはトルーマン・カポーティが、出版後まもなかった彼の著作「犬が吠える・・・」について記された悪評をののしりながら、ジットを驚かせた場所だ。
ポートレートの文集には、この表現がそのまま使われている。
僕の取材は続いたが、証人の記憶はずいぶんと疲れきってしまっていた。
昨夜は友人のレンゾーと再会した。
ライオンのたてがみをもったような現地の詩人。彼は少々記憶を失ってはいたものの、そのフランス語は新鮮で無邪気さが消えていなかった。
この洞察にちょっと動揺した僕は、隣町のスピソーネへ足を運んだ。
ラ・カピネーラというレストランでの食事。
かなりよくて、素早い。シシリア島の味を残しながらも、コンテンポラリーな店内は、はっきりしていて、若々しく、サービスは欠陥のない元気さで熱狂していた。
La Capinera
T. +39 0942 626 247
2人で約80ユーロ
Photo/F.Simon
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