3つ星で初ディナー、ジル・グージョンの真っ直ぐさ
レストランが3つ星を獲得するということが、どういうことであるのかは、意外と想像しがたい。
先週末、フォンジョンクーズで、ローベルジュ・ドュ・ヴューピュイが、冬期休暇を終えて再オープンした。その間、ジル・グージョンのコック帽に3つ星が降り、ほんの数日間で、彼は美食ランドの英雄となる。
彼の姿は、オーナーシェフの改修、無名人、影の仕事人、ジャガイモのソテーが専門の古鉄商人といったほうがふさわしく、パレスの晴れ着や、運のいい成金からは、程遠い存在といえるだろう。
このコルビエールの小さな村に足を踏み入れた途端、ある種の陽気さが感じられたように思った。3日前には、雪が110人もの村人を閉じ込め、登り坂には、それらがまだうっすりと積もっていた。
レストランの40席は、ずいぶん前から予約が取られていた。
午後には、ウェイターや料理人が、店の点検に訪れていた。新しい床にワックスをかけ、ガラス製品を夕日にかざして点検する。数時間後には、ジルとマリー=クリスティンの新しい人生が幕を開ける。後衛には、共鳴者や、理解者、熱っぽかったり感情的だったりする応援団がいた。シャンパーニュを捧げ、肩を叩き合う。ゴールの網にボールが触れるたびに、胴上げを繰り返すサッカー選手ではなく、控えめで謙虚で、情のある品位と言ったところだ。
ゴール。シェフは10年に1度それを決める。ガイドブックでの好評価、星の獲得、フランス最優秀職人賞獲得。ジル・グージョンは、それらをすべて所有しているとはいえ、落ち着きを払ったシェフである。天使のような笑顔で、来店しなかった客の健康を心配し、祝辞に答える。
この夜は、村が閉鎖されてしまったので、特別メニューを披露した。
さっと湯通ししたジラルドーの牡蠣とロケットサラダのピューレ、トリュフのCarrusの卵料理とトリュフの香りのシャンピニヨンのピューレ、大きな舌平目とラングスティンのムースリン、ベアティーユのパスティーヤの上にのった鳩のロティー等。
チーズは、豪華なワゴンサービス。そしてデザートには、コンテンポラリーなチョコレートが並んだ。
各テーブルでは叙唱が響き、口ずさむ歌声さえ聞こえていた。その自由放漫な笑い声は、慰められた子供の歌声といったところである。愛情に満ちたその雰囲気は、素晴らしい音色の世界を作り上げていた。
技術上の複雑な揺れを伴いながら機能する料理は、それなりに成功していたが、風味の逆効果狙いが続いていた。ストローで飲むトリュフ風味のカルパッチョは、方々で見たことのあるような詳細だったが、それなりにインスピレーションを受けた職人料理で、リスクもおっているし、無事に危機からも脱出している。
黄土色と赤が基調の、コンテンポラリーな内装。部屋も同じメタル性で、それが僕らの快楽を引き延ばしてくれた。
L'auberge du Vieux Puits - Tel. 04 68 44 07 37
Photos/F.Simon
コメント