SIMON SAYS! JAPON

ソウル ようやく食卓へ

初日の食体験は意外と平凡なものだった。
一件目はファッション性の高いレストラン「タニ」(+ 822.796.1244) 。今ソウルで大流行のフュージョン料理の波に乗ってはいるものの、さりげないいい加減さが目立つ料理。
銀ダラはまずまずだったが（写真上）、重たいくらいにキャラメリゼされたりんごとペーストの海の中を泳ぐクルトンのサラダには閉口。
かわいいサービスに植物が一杯のアーティスティックな内装が特徴。

二件目は三清洞（サンチョンドンギル）通りにある「バンブーハウス」(+ 822.566.0870)。肉と魚のバーベキューが有名だ。（写真上）
数々の著名人達の写真が飾ってあるが、食材の質に不満を抱く理由にはならないだろう
。
この２件とも１人５０〜６０ユーロ。

Photos/F.Simon

ソウル 夜の蝶

プラダのパーティーでは数々のスターレットが宵を彷徨っていた。
シャンパーニュと高いハイヒール。驚愕心から、国外追放されたみたいな一軍を前にして戸惑わない。
正直、古い井戸みたいに野蛮すぎて、２時間近くうろうろしたが、たくさんの顔に陶酔し、視線をそらしては小鳥みたいに突っ立ったままで石像になりかけていた。
もう少しで「やんちゃ心いっぱいだけれど同情心も秘めた表情」をもつお寺の仏像になってしまうかと思ったくらいだ。
ニコラ・ブーヴィエの「アランおよびその他の場所の日記」（1990年Payot出版）に出てくる一文の引用。

Photo/F.Simon

ソウル３日目 疲れが抵抗感を麻痺

少し太陽がさしてきたら物事ははっきり見えてくる。日が沈むとそれらはさらに明確さを増す。
鋭い観察者は、ジャン・ヌーベルとマリオ・ボッタがデザインしたサムソングのイウム Leeum 美術館の屋根に張り付いている、ルイーズ・ブルジョワとその蜘蛛「マモン」を目の当たりにするだろう。
美術館はコンパクトで、素晴らしい焼き物やカリグラフィー、そしてベーコンやマチュー・バーネー、クラン等のモダンアートが展示されていた。
今夜はプラダ・トランスフォーマーでのオープニングパーティーが開催される。
それに続いて街散策を開始することにしよう。ひとまず、午後はすごくいいと聞いていた昌徳宮(チャンドックン)を見学する予定。
疲れから抵抗感が麻痺し、街がようやく僕の体の中に吸収され始めてきた。

Photos/F.Simon

ソウル２日目 プラダによる変装

少し慣れてきた。
いくつかの大通りを散策。風はやむ様子もなく、春なのに少しうすら寒い。
今日はレム・コールハース Rem Koolhaas デザインの可動式建物を訪れた。明日オープニングパーティーが行われる会場だ。
ゴム製の繭で包まれた巨大な貝殻を思わせる。しかも両脇が開いて様々なタイプのイベントに適応。明日は、韓国特製のものを含めたプラダのスカートコレクションが開催される。

Photos/F.Simon

ソウル１日目 風と辛口な街

複雑でつっけんどんな街が好みな僕にとって、この街はもってこいだった。
ソウルは、一度来ただけで理解するには困難な街である。揮発性のノスタルジーやメランコリーを含む空気がただよう。
今現在、まだ前に進めていない自分。

Photo/F.Simon

いいレストランベスト５０ By レストラン誌

1 El Bulli Spain (=) www.elbulli.com
2 The Fat Duck UK (=) www.fatduck.co.uk
3 Noma Denmark (▲7) www.noma.dk
4 Mugaritz Spain (=) www.mugaritz.com
5 El Celler de Can Roca Spain (▲21) www.cellercanroca.com
6 Per Se USA (=) www.perseny.com
7 Bras France (=) www. michel-bras.com
8 Arzak Spain (=) www.arzak.es
9 Pierre Gagnaire France (▼6) www.pierre-gagnaire.com
10 Alinea USA (▲11) www.alinea-restaurant.com
11 L’Astrance France (=) www.lastrance.abemadi.com
12 The French Laundry USA (▼7) www.frenchlaundry.co
13 Osteria Francescana Italy (New Entry) www.osteriafrancescana.it
14 St John UK (▲2) www.stjohnrestaurant.co.uk
15 Le Bernardin USA (▲5) www.le-bernardin.com
16 Restaurant de l’HÔtel de Ville Switzerland (▲11) www.philippe-rochat.ch
17 Tetsuya’s Australia (▼8) http://www.tetsuyas.com
18 L’Atelier de Joël Robuchon France (▼4) www.joel-robuchon.com
19 Jean Georges USA (▼2) www.jean-georges.com
20 Les Créations de Narisawa Japan (New Entry) www.narisawa-yoshihiro.com
21 Chez Dominique Finland (▲18) www.chezdominique.fi
22 Ristorante Cracco Italy (▲21) www.ristorantecracco.it
23 Die Schwarzwaldstube Germany (▲12) www.traube-tonbach.de
24 D.O.M. Brazil (▲16)
25 Vendôme Germany (▲9)
26 Hof van Cleve Belgium (▲2)
27 Masa USA (Re-entry) www.masanyc.com
28 Gambero Rosso, Italy (-16) `
29 Oud Sluis, Netherlands (+13)
30 Steirereck, Austria (New Entry)
31 Momofuku Ssam Bar, U.S. (New Entry)
32 Oaxen Skaergaardskrog, Sweden (+16)
33 Martin Berasategui, Spain (-4)
34 Nobu U.K. (-4)
35 Mirazur, France (New Entry)
36 Hakkasan, U.K. (-17)
37 Le Quartier Francais, South Africa (+13)
38 La Colombe, South Africa (Re-entry)
39 Asador Etxebarri, Spain (+5)
40 Le Chateaubriand, France (New Entry)
41 Daniel, U.S. (=)
42 Combal Zero, Italy (Re-entry)
43 Le Louis XV, France (-28)
44 Tantris, Germany (+3)
45 Iggy’s, Singapore (New Entry)
46 Quay, Australia (New Entry)
47 Les Ambassadeurs, France (-2)
48 Dal Pescatore, Italy (-25)
49 Le Calandre, Italy (-13)
50 Mathias Dahlgren, Sweden (New Entry)

Brought to you by The S.Pellegrino World’s 50 Best Restaurants 2009

どうだろう。
去年ここで語った時点から、僕の意見は変わっていない。
今年は思い切って審査員の席を辞退した。正直、世界中にあるレストランをランクづけすることは不可能だから。ただそれだけ。

今旅の準備の真っ最中だから、また改めて話題を取り上げることにしよう。

By F.Simon

マンナの１０ユーロコース

こんな時代だから、１５区にある小さくておいしい韓国料理店「マンナ」をご紹介。
この値段で、韓国風ガレット、ご飯、春雨に野菜炒めが付いてくる。
悪くない。会社の同僚とのランチに最適な雰囲気。
とはいっても、１０ユーロで食べれる店なら、もっといい所を明日紹介しよう。

Manna
44, rue de Lourmel - 75015 Paris
T. 01 45 78 80 09
Map
パリ１５区のレストラン
Photo/F.Simon

「ダローズ」でもう一言

ロンドンのコンノートホテルにできたてのレストラン。何台ものダンプカーがリーブル・スターリン紙幣を山と積みこんで出入りしたに違いない。ここでは、エレン・ダローズが厨房の舵をとる。
ガラス、カトラリー、そしてノトロンの劇的なナイフ等、些細な小物がよく思考されていた。こんな環境で食事をとるのもいいもんだ。
そうだ。この夜に飲んだものは。
ミネラルウォーターが一本、プルミエクリュのマルサネ、Michelot 2002年ものを一杯、（１４ポンド！）それからハンガリーのシラー、Wzninger 2004年ものはうまかった。

Photo/F.Simon

コンノートホテルのレストラン「ダロース」新着写真

やっと、ロンドンのコンノートホテルに、エレン・ダローズのレストランがオープンした。
内装は、コンテンポラリーなクラシック風に全改装され、明るい部分とランプのかさが作る暗い部分がうまく融合した雰囲気。
大金がそこいら中にがぶがぶ使い込まれたに違いない。

さて問題の料理は？
赴く前から、僕はパリよりもいいものが食えるんじゃないかと予想していた。大抵のシェフたちは、遠方で束縛から解放される傾向にあるからだ。
ベトナム風のブイヨンは、まさにその原理を象徴する一品だった。ショウガでマリネされたカブと一緒に運ばれた、ラカン産子鳩の一皿もすごくよかった。
しかし・・・デザートに頂いた黄桃とピスタチオのアイスクリームの一品。口の中に馬金をきっちりはめられたみたいな幻想に陥った。砂糖が歯にくい込み、まるでコンクリート固めにあった気分だった。

会計は１人で１３６パウンド。
これにはひどく苛立ってしまったが、澄み切った感じとジェットセッターなこの雰囲気が、ロンドン住人が待ちこがれていたものに違いない。
サービスは完璧。
そこで疑問。この料理を試食するためにさて、ロンドンまで足を運ぶ人がいるだろうか。

アーモンドのお菓子を片手にぶらぶらと

アーモンドペーストでできたお菓子がお好きなら、タオルミーナにある Corso Humberto 通りで発狂してしまうに違いない。その手のお菓子を並べる店が、軒を連ねるからだ。特に、102番地と112番地がおすすめ。
太陽の下をぶらつきながら、こんなお菓子屋巡りも悪くない。

Photo/F.Simon