SIMON SAYS! JAPON

この夏のおすすめ３０件

みんな、我慢できずに海辺へ出発したようで、ようやく街から人影が減った。
そこでもちろん、旅先の、うまくてサプライズがあって動きのある店をご紹介。
アレクサンドラ・ミショと一緒に、 落とし穴や詐欺なんかを避けながら、フランス各地のレストランを試食。
さぁ、召し上がれ！

フランス北部からノルマンディー地方
http://madame.lefigaro.fr/cuisine/en-kiosque/628-nos-trente-meilleures-tables-de-l-ete/1

ブルターニュ地方
http://madame.lefigaro.fr/cuisine/en-kiosque/628-nos-trente-meilleures-tables-de-l-ete/2

ラ・ボンデ地方とアキテーヌ地方
http://madame.lefigaro.fr/cuisine/en-kiosque/628-nos-trente-meilleures-tables-de-l-ete/3

ラングドッグ・ルーシヨン地方 から北上する前辺り
http://madame.lefigaro.fr/cuisine/en-kiosque/628-nos-trente-meilleures-tables-de-l-ete/4

イル・ドボーテとリヴィエラ
http://madame.lefigaro.fr/cuisine/en-kiosque/628-nos-trente-meilleures-tables-de-l-ete/5

（イラスト／Le déjeuner des canotiers, Pierre-Auguste Renoir, 1881）

「ミニパレ」についてもう一言

ブログの閲覧者が、賛否両論のジル・シュクルーン（オペラにあるレストラン「アンジェロペラ」のシェフ）が監督する、期間限定レストランについてのコメントが短すぎると嘆いてきた。
巧妙で鋭い料理は、このシェフ独特の、キャリア主義な表面的性格に似合っている。

でも、僕が一番記憶に残っているのはイナのすごいブレスレット！

一目でどこのものか見分けがついた。

エルザ・ペレリがデザインしたティファニー、１９７８年もの！
シャツはコムデギャルソン、オム。

またまたおすすめの寿司屋

料理に熱狂的なブログのある閲覧者からの質問。
「パリ１６区にある寿司屋「コムデポワソン」は、犬用レストランか？」
この辛抱しきれない気質が愛おしいから、それもガストロノミーに欠かせないぴりっと辛いスパイスと思うことにしよう。
そうはいっても、この寿司屋はやっぱりはずせない店。
でも昨日食べにいったことを考慮して、もう一つ秘密の寿司屋をご紹介。

店の名前は「コリン」。
すごく小さなこの店は、いつも客が一杯で、シェフのシゲル・コバヤシは、片意地のはらない優しさが溢れる。
ごくシンプルで、アンチ・スノッブなレストラン。

Korin 　
58bis, rue Sainte Anne - 75002 Paris
T. 01 40 20 49 93

次回予告
最近めまぐるしく多忙で、地に足着かずな状態だが、バカンス中ももちろんブログは更新するつもり。火曜日の夜に、映画「ラタトゥイユ」のコメントを載せ、その他はフランス各地のいい店を紹介していく予定だ。
年中無休のシモン〜セイズ！

（写真／F.Simon）

ミニパレ、魔法のステッキ

うまく行くとは思う。
グラン・パレみたいないい立地条件、アイデアの詰まったメニュー、少し嘲笑的なエネルギーをもった期間限定レストラン。
小粋な料理が選べる一方で、タガダのイチゴ味飴風味のイチゴみたいに、１０年以上前の「新作メニュー」も並ぶ。
その時代のフレデリック・グラッセー＝エルメさえ思い出させる。

爽快さ溢れる、気取った通り風のようなレストラン。
たどたどしいレセプションだが、すごく丁寧なサービス陣。

Avenue Wisnton Churchill – 75008 Paris
T. 01 42 56 42 42
（写真／F.Simon）

待ってました、3MyRの復帰。

正直言って、「3MyR」は、どこから現れるかわからない。
クリスティン・マルキーズとメリー・ロイエからなるこのアーティストグループは、何が何でもこのブログに乗り込んできたいようだ。

レストラン記事を装飾する為の写真撮影？
いいんじゃない？
狭き門を狙う道からの回避？
それも人生。違う道に進めばいい。

前回この２人は、レストラン、ガヴロッシュへ向かい、何とも批評しがたいステーキと悲惨なフライドポテトを注文して、思い切った写真を撮影した。
フィガロスコープの一面に取り扱われもいいくらいの作品だった。
もし、アメリカ人がこの写真を目にしたら、即時彼女らにお金を払い、ヴォーク誌の表紙を飾ることになるだろう。

そして今回もまた・・・。
チュイルリー公園のカフェ・ベリーについて、僕が書いたアッシェ・ムニュから受けたインスピレーションに基づく作品。
野菜の角切りが添えられたアスパラガスを注文し、それをナイロン袋にこっそり移して、いざ写真撮影へ。

すごいよね、まったく。

僕的にはまだ続いてほしいんだけど。

写真／3MyR, Christine Marquise & Merry Royer, 2007

バッファローグリル、行く価値ゼロ

読者の方からしてみると、僕はインゲン豆のはらわたを研究したり、たこの脈を取ったり、雌キジの心臓音を測ったりして、人生を過ごしていると思われるかもしれない。
がしかし、実はそんなに込みいった話ではない。
洞穴学の知識がなくても大丈夫。ただ単によく監察しているだけだ。
Fines Gueueles のタルタルの話を思い出してほしい。
比較した後で、ものを書いているだけなんだから。

どこで何を食べるかも特に考えず、ナントのヴァンヌ高速道路沿いにある、オルヴォルのステーキハウス、バッファロー・グリル Buffalo Grill に入った。
そこで一番いいだろうと思われる肉、要するに１９、７０ユーロの牛背肉を注文した。
約１０年来続いてきたこのレストランのこの肉が、どこから仕入れられているかが想像できる。
この悲惨な肉魂は、確かに気前はいいけれど、気の抜けた料理を出してしまう申し訳なさを隠す為につくられたと思われる、笑顔と一緒にサービスされる。
この写真は、フォトショップを通した後の偽物ではない。

今日の一冊 « Chaud Brûlant », So Good

昨日の昼に、ジュアン・レ・パンにあるデ・ベル・リヴホテルのレストランのテラスで、この本を読み終えた。
ビル・ビュフォード著の “ Chaud Brûlant ”（原題 “ Heat ”）
ガストロノミーが軽いフード感覚で表現されている筆体は、意外に新鮮だった。

この本は、振り子時計を定時に合わせ、バターをバター入れに直させてくれるような本。
一体何がこの著者を、ニューヨークで流行りの有名レストラン、マリオバタリの厨房の見習い研修へと駆り立てたのか。
もちろん、好奇心があって、食欲も旺盛だったに違いない。
読者のサディックな快感のために、著者は筆をとって厨房内の地獄模様を描いた。
一つ目の間接から爪まで切ってしまった人差し指、やけど、水ぶくれ、冷たい霧が漂う冷蔵庫の中で凍る汗、いじめ、ひどいあしらい、ひっくり返ったフライパン、注文の遅れ・・・。
５０数ページまで進むころには、こちらの居心地さえ悪くなってくる。
本の中に入り込んで、彼の金槌ち人生を応援したくなる。
料理は、もはや情熱ではなく、ある種の薬物、それも猛毒のドラッグになった。
ドラムの音は響いているが、本物の知識も豊富なこの本の中で、読者はニューヨークやトスカーナを横切り、Tortelli di Zuccaのようなレシピを振り返り、まるでソース・サバイヨンをつくるみたいに真剣にソース・オランデーズを泡立てる英国人マルコ・ピエールのような、豪快でゴシックな人物に出会う。
常に詩的というわけではないが、乱雑で、食いしん坊で、しつこく、うさんくさいが風味深い。
サービスの悲惨極まる記述を除いても、料理の感性やその起源の追求など、感情高まるシーンもある。

手作りの家庭料理は、単に良識を振り返るだけの話だけれど、何でもかんでも食べてしまう壁に世界が突進している事態を思い出させ、僕らに救いの手を差しのべ、リフレッシュさせてくれるシーンがある。

料理学校、食堂、デパートなんかにこの本を配って、読んでもらうべきだろう。
ビル・ビュフォードのこの本は、知識を高めたり、ガストロノミーの経験を深めたりできるだけではなく、人生で出くわすひとつまみの辛酸まで教えてくれる。

Chaud Brûlant（原題 Heat）
出版　Christian Bourgois
仏訳　Isabelle Chapman
25€

タルタルのうまい店

昨夜、猛烈なタルタルをだす店を見つけた。
肉は、あのユーゴ・デノワイエの肉屋から仕入れられている。
透明感。
地元の不安定な客層と、ワインリストにはかわいらしい“キール”まで。

Les Fines Gueules
43, rue Croix des Petits Champs - 75001 Paris
T. 01 42 61 35 41

エンポリオ・アルマーニカフェでの絶交ディナー

よく、食べ物は、人を興奮した状態へ追いやる力をもっているかもしれないと、疑ってしまうときがある。
今晩もまた、エンポリオ・アルマーニカフェで、僕はそんな状況の中にいた。
何も特別な要素はなかった。
法外な価格で打たれた見事な会計、勢いがかったノイローゼ状態の客層、メニュー、ワインリストにはトスカーナ、マレマのロダイ２００４年もの。

火花が飛びちり、言葉が勝手に道を開き、やめておけばいいのに高速道路の連絡路を逆走している感じ。
こんな時はどうしたらいいのだろうか。
助手席の背もたれに腕をまわし、脊髄をよじらせて、バックギアをいれるか。

もちろん、それは邪道。
突っ走って、全部灰にしてしまおう。

結局、作り立ての端整なコーヒーアイスクリームを前に、一人で食事を終えることになった。

Emporia Armani Caffé
149, boulevard Saint Germain – 75006 Paris
T. 01 45 48 62 15

京都、忘れてたけど・・・

旅は、時に妙な感覚を起こす。
その場を去ってから幾日もたつのに、後になってからその形跡が顔を出すことがある。
なぜこのうまい豆腐を頂ける店が、記憶から遠ざかっていたのか。思い出を整理しながら、偶然見つけた宝物。
しかし、この店を訪ねた日は、一日中雨が滴り、目を見張る庭園に、透明な食事が印象的で、すぐに思い出してもおかしくない体験だった。
もし京都を訪ねるなら、いいレストランリストにここの名前も加えるべきだろう。

西源院　616-8001 京都左京区竜安寺 13