アラン・デュカスのレストラン「オーリヨネ」では、すべての物事が確実に進む。最近新しくなったのが、サービスに人間味のあるリアクションが見られるようになってきたことだろう。
アントレを頼まなかったら、ちょっとだけぎくしゃくされた。
本当に?うん本当の話。
すぐさま「少しだけお時間を頂きますが」と忠告される。僕の場合は子牛の肝の一皿だったが、どんなメイン料理だって同じ返事が返ってくるに違いない。
完璧に調理されたそれは、ジャガイモのフォンデュがついて、いうことなかった。
些細な幸福感に、モナコらしい価格。(22ユーロ)。
客層は、抜け目がない上当てずっぽうでここへ来ていないような顔ぞろい。調温がきいている店内の雰囲気はいつも通り。
Aux Lyonnais
32, rue Saint Marc – 75002 Paris
T. 01 42 96 65 04
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Photo/F.Simon
シリル・リニャックがレストラン「シャルドゥノー」を購入した。どんなものになるかは想像がつく。
彩り良くて魅力的で、都会の胃袋にあったビストロ料理。
慎重に計って調理された料理は全くもって、いける。まじめで気やすいこの青年の人柄にぴったりだ。
もちろん、けんかのネタを探したり、ばかにしたりする奴がでてくるだろう。
しかし正直言って、このシックな青年は、みんなの期待に応えてうまくやりくりしているし、それなりに難関も突破している。なんといっても仕事好きときた。
彼のどこを非難できるだろう?
まあそうは言っても、僕が彼の肩をもつべき理由はない。ただ、夜にはまた違うレストランが僕を待っていたから、軽くランチが出来たことがうれしかっただけだった。
Chardenoux
1, rue Jules Vallès - 75011 Paris
T. 01 43 71 49 52
無休
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Photo/F.Simon
サンス市のこの店はかなりいい。
大阪、東京のドミニク・コルビィとパトリック・ゴティエが肩を組んでオープンした、フランスと日本がフュージョンしたレストラン「ル・ミヤビ」。
コンセプトは居酒屋と懐石と割烹の間。ブルゴーニュ産の食材を使用し、日本料理からインスピレーションを受けた小皿料理が、カウンターで頂ける。
エスカルゴとフォアグラの串挙げ、豆乳で仕上げられた大麦のリゾット、ニューカレドニア産のえびとそのえびのチュイール(写真)一本釣りのすずき、ムール貝のコンフィ、シャラン産の小鴨の蒸し煮、等々。
はっきりいって、ずいぶん大胆で本当に成功している。
着物姿の綺麗な日本人女性がおもてなし。シェフは東京から本物の透き通っただしをもってやってきたようだ。
コース料理が24ユーロから。
Le Miyabi
1, rue d'Alsace Lorraine - 89100 Sens
T. 03 86 95 00 70
無休
Photo/F.Simon
日曜の朝に出るこの街のマルシェを見れば納得できる。
そんな、グルメなでのんびりしたこの街でも、いい店はしっかり見極めるべきだ。
そこで最新のビストロを紹介。
レストラン「ラルモワーズ」で頂く34ユーロのコースメニュー。トマトのリゾット、牛のはらみ肉のネギ風味、そしてデザート。
ちいさな店内は綺麗で明るい。
要予約。
L’Armoise
2 rue de la Tourraque – 06600 Antibes
T. 04 92 94 96 13 又は 携帯 06 60 21 44 05
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Photo/F.Simon
パリ6区でお勧めアドレスが少ないと、批判の声を頂いた。OK。
それでも今回は7区の一件をご紹介。
その名も「アルデンテ」。
どこかで見たことがあるけど思い出せない有名人たちが顔を見せる。なんと言っても経営者が、ヴァンサンの兄弟、シルヴァン・ランドンだ。
写真は、ロケットサラダとブレザオラ、トマトとモッツァレラがのったピザ。なかなかいいものが頂ける。
店内はしつけのいい子供のやスリッパ姿の裕福なご近所さん雰囲気だった。
つまり、ぬくぬくのドルチェヴィータ。
Al dente
38, rue de varenne – 75007 Paris
T. 01 45 48 79 64
日月休
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Photo/F.Simon
モンマルトルにオープンしたこの新日本料理店はなんというサービス。
2回転(19時半と21時)もするというのに、テーブル席、ましてやカウンター席を獲得するためには、早起きして行かなければならない。
12皿もの料理が直接シェフから運ばれてきた。
そして結果は・・・。
生命力があって、はためき、素晴らしいとも言えちゃう料理。ラディッシュの上にのったからすみは特に最高だった。
しかし、心が大きく開かれるような、致命的にがつんとくるものはなかった。いい店だが、天才的ではない。
182ユーロの酒を一本頂いた。安くはないだろう。
この日は、ビストロ系の店が好みの知人が一緒だったから、店を後にした彼らは、あっかんべーをして、即席のパスタと赤ワインをほしがったものだ。
あらら、なんという不幸。
Guilo Guilo
8, rue Garreau – 75018 Paris
T. 01 42 54 23 92
Photo / F.Simon
サン・ぺ・シュル・ニヴェル Saint-Pée-sur-Nivelle にある「オーベルジュ・バスク」。
今回の旅の中でもとっておきよかったアドレスだ。フランスの最新ホテル事情が知りたかったら、ここを訪れることを是非おすすめしたい。ようやく、親切でシンプルで、心のこもったおもてなしが出来る宿主が戻ってきたらしい。
ボキューズ、そしてデュカス出身のセドリック・ベシャッド Cédric Béchade。彼がその情熱をもって、この地までやってきた。二人としていないソムリエのサミュエル Samuel (ヴェラ出身)と、若くて情熱に溢れ、自分の仕事に心から喜びを感じているチームが彼を支える。
感じいいコンテンポラリーな部屋とクラシックな部屋。目を見張るような料理は、よくあるもったいぶったガストロノミーを忘れさせてくれた。土地の食材がそれらのもつ水分の中で調理され、料理はトニックな創造性がほとばしる。ワインメニューもかなり充実。
ホテル中に抜け目のない細かい気遣いが感じられた。
一泊110ユーロ〜
L’Auberge Basque
T. 05 59 51 70 50
Web : www.aubergebasque.com
ハエが溺死した場所の表記をすっかり忘れていた。
ロービヨン Roubion くらいバカな話。ホテルレストラン「ラ・フリプー二エール La Fripounière」は、完全に心を打たれた一撃だった。
アン=クロード&パトリック・キャロン夫妻(パトリックはロワイヤル・エヴィアンとニースのパレ・ド・ラ・メディテラネの旧マネージャーだった)が営むこの山小屋は、いい料理と最高な山ワインが肩を組んだ、シンプルで暖かい雰囲気をもつ。料理は、ピエルラ産仔羊のもも肉が16ユーロ、農場産ホロホロ鳥のスパイス入り蜂蜜のキャラメル風が16ユーロ等。
14室あるコージーな各小部屋には、暖炉が設置され、裏から見渡す情景は絶賛ものだ。
写真は、キノコのムースロンと一緒にポワレしたジャガイモ。仔羊のもも肉の添え物だった。
Col de la Couillole, Roubion
T. 04.93.02.02.60
Web : www.lafripouniere.com
Photo/F.Simon