いじわるなハノイの美食パラドックスはといえば、高級と名のつくレストランはどこかズレている、ということである。
「クラブ・ド・ロリエンタル」がそうだ。手の込んだデコ、いい感じの店構えと言う事なしのサービス。でも出てくる料理がうまくない。
この日は自分へのご褒美にちょっと贅沢をして、オマールのレモングラスとマンゴーのソーズ添えを注文した。
しかしオマールは綿みたいにまずく、加熱し過ぎでいけなかった。きっと強烈にそして乱暴に蒸しすぎたせいだろう。
また、細かい事を言えば、殻を割るために使うハサミをウェイトレスに頼んでいたのだけれど、結局持ってきてもらえなかったのは悲痛だった。
Club de l'Oriental
22 Ton Dan st.
T. 38 26 88 01
Photos/F.Simon
おかしな話だが、すこし時間が経つと、精錬された料理が食べられることが売りの欧米人観光客向けレストランは、ちょっと無防備すぎはしないかと感じるようになる。
クラブ・ド・ロリエンタルClub de l'Orientalの好評は完全に間違ったものだったし、ル・ワイルド・ロチュスLe Wild Lotusでは、ショートパンツ姿のアメリカ人の若者たちが激安の価格付けにぷっと笑い出す様子に、こちらが居心地の悪い思いをした。
正直、そこにいる自分が恥ずかしかったものだから、道に飛び出した僕はようやくほっとできた。場所はいいのに、残念だ。
それでもこのジャンルのレストランは、といえば、ディディエ・コルルーのヴェルティカルをお勧めしよう。常に完璧とはいえない大胆さはイチゴのエビ料理に表れていたが、料理とベトナムに寄せる情熱をもったその仕事ぶりは説得力がある。
隣りには珍しいスパイスや新鮮なコリアンダー等が選べる小さくて素敵なブティックも。
Verticale
19, Ngo Van So
T. 49 44 63 17 www.verticale-hanoi.com