SIMON SAYS! JAPON

東京 a day in my life １３時

資生堂の社員と共に、銀座のヴィオラカフェへ、カプティーノを飲みに行く。それぞれのカップに異なる模様が描かれた、大成功のカプチーノ。



Photos/F.Simon

東京 a day in my life １１時４５分

福原氏のランチは、いつも軽食だ。確かに、豪華な食事が続くのだろう。そうでなくとも、機会があるたびに、こっそりそばを食べにやってくるらしい。お水一杯と一緒に、ずずっとかきあげる。だから、僕も彼に見習った。なんと言う幸福！
羽毛ように、身が軽くなる。トータル３０分の速攻な食事は、８００円たらず。つまり９ユーロ。
なかなかいいんじゃない？
この後も、カプチーノとクニカズのアドバイスが続く。

Photo/F.Simon

東京 a day in my life １１時半／スミマセン！

福原氏とのインタビューの後、外では雨が降り出していた。
ランチタイムだったので、ミス・資生堂達が、群をなして建物から出てくる。
ここで、ハイテンションな中学生の記念撮影。
同じ状況がパリで起こったら、と想像してみる。きっと、冷やかしから逃れるために、カメラをすばやく隠していたに違いない。しかし、ここは違う。愛らしく迎えられ、しかも真剣に喜ばれてしまうのだ。

Photo/F.Simon

東京 a day in my life １０時／ここだけの話ですよ。

午前１０時。資生堂の大社長、福原氏を、銀座にある資生堂の建物内で待っていたのは、僕を含めて数人いた。
現れた福原氏は、控えめな装いで、その集中力加減から、日本の大家育ちという雰囲気を感じさせる。
インタビューは、尊敬してしまうくらいに空虚な内容の答えばかり。マーケティングについての真相を聞きだしたら、「数字からはいいアイデアは浮かびません。」外見崇拝については「中身が空っぽの場合は、外見を磨きますね。」
この返答には、僕も吹き出しそうになった。銀座の大通りに立って、スピーカーを片手にこの返答を連唱できるか、と尋ねてみたところ、彼は笑いながら答えた。
「ここだけの話ですよ」

Photo/F.Simon

東京 a day in my life ７時／正当な振る舞いを身につけること

昨夜もまた、睡魔が空き巣のように僕を襲ってきた。窓から侵入してきたと思ったら、換気口からそっと逃げ出していく。その度に、僕は枕にかぶりつきたくなる。だから６時半には、くたびれたぜんまいみたいな状態で、僕の目はキンキンに冴えていた。
汐留にある、ロワイヤル・パーク・ホテルのレストランでの朝食。新聞は、世界のニュースを扱っているとはいえ、その大半が日本の国内ニュースである。
その中で目にとまったのが、名古屋場所で悪態をついたことに対して、相撲取り一同が謝罪をしているニュースだった。
我らのサッカー選手達に、スタッド・ドゥ・フランスで、同じような儀式を行ってはどうか、と勧めてみたくなる。こんな時に、僕らの愛するフランスは、なにげなしに、壁の中へえ埋まってしまっているんだ、と気づく。それでも、僕らはフランスが好きでたまらないんだけどね。
この後１０時には、福原氏との待ち合わせが待っていた。

Photo/F.Simon

東京 時折、穴ぼこの状態で

小さな通りをどんどん抜けながら、新しい店を探し歩く。そしてまた、えぐりかえった壁が続いていく。

次の機会にお話する予定の、「スズナリ」という店の近くにある。ここへは上陸する間もなかった。又違う店が僕らを待っていたからね。


Photos/F.Simon

東京 時差ぼけ対策は？

眠らないで過ごしたり、神戸牛や原宿のロリータの数を数えたりしていたら、異常に疲労を感じてきた。そんな疲れに文句も言えるが、あえて言わない。というのも、それがきっかけで、別世界の戸が開かれることもあるからだ。ランプの傘のように、居心地がよくて和らいだ感覚。ここで、又別の現実があることに気がつく。もっと温和で流動的な現実。
しかし、元の現実へ簡単に戻ることも出来る。
つまりは、マッサージ。
商店街等、マッサージは、あらゆる場所で行われている。財布から２０００円を出して、横になった途端、その足は、揉まれ、磨かれ、固められる。こんなマッサージの後は、パンチの効いた元気さをもって、街へと再出発できる。
今回、僕は４０００円のトータルマッサージを受けた。僕の小さな脳みそを、うまく軌道にのせるためにね。
繊細な若い女の子が、その天使のような指から発する指圧は、きこり並みだった。その結果、３日たった今でも、頭蓋骨が痛い。意地悪な女の子が、僕の弱点を押してしまったから？・・・そんなわけないさ。

Photo/F.Simon

東京 情熱で磨かれた素顔

毎回東京に来て、僕が心動かされてしまうことの一つに、「情熱」がある。
戸を開けたり、クレジットカードを返却するような単純な仕草にさえ、情熱を感じる。そこに生命がある、とでも言うように、究極な気の遣いようが感じられる。
写真の青年がいい例だ。皿を置く仕草にさえ、感情が込もっている。だから僕は、こんな日本に感激してしまうわけだ。３０秒ごとにそんなことが起こる夜には、僕の体は、揺すぶりかえる大聖堂に変身する。極度の心遣いと気配り。
だから僕は、いつもとは違う風に、街へと飛び出す。どんな風に違うのかは、未だに僕もよくわからない。きっと、もっと濃密で、もっと情熱的なんだろう。

Photo/F.Simon

築地 オーウェルとヴィクトル・ユゴーの間 ナンバー２８番

毎回ここへ来るたびに、僕は衝撃的な平手打ちをくらう。
世界一大きな魚市場。
海の香りがする熱狂。大自然の大海が、ここで解き明かされる。大騒動の中で、ケースからのめり出るタコ、カエル、アワビ、４０年ものの牡蠣たち。
生と魚、そして塩辛い闘争に揉まれながらも、僕は進んでいった。
無精で乱暴なこの世界にも、笑顔と丁寧さは存在したらしい。すれ違いざま、ぶつかるたびに、謝罪の声が飛ぶ。そんな中で、来た道を引き返したら、この若い女の子と目が合った。思わず、２８番のケースの中にもぐりこんでしまいたくなる。

Photos/F.Simon

東京 マサミチ・カタヤマ氏のプライベートアドレス

片山正通氏の隠れ家

建築デザイナー、片山正通の建築事務所ワンダーウォールは、APC等有名ブティックの内装を手がけたことで著名だが、パリのフォーブール・サントノレ通りにある、パリモード界の大道、コレットの、大掛かりな工事にも着手している。

彼は今、魅力的な恵比寿地区で仕事を進める。傾斜した道に軒を連ねる小さな店では、茶碗や麻生地のテーブルクロスが目を引いた。

御用達レストラン
恵比寿のなかでも、ソノヤマは、家で食べるような和食をベースに、繊細な料理が食べれる。店は、家が畳み込むように立っている路地の奥にあって、見つけるのに一苦労するだろう。ここへは、外国からの客をよく連れてくる。僕が知っている限りでは、ガイドブックにこの店は掲載されていない。
しかし、予約の為の電話番号は一応ある。
Tel : 03 5789 9899

御用達ブティック
またまた恵比寿にある、タミゼは、ヨーロッパと日本のアンティーク商品が楽しめる、愛らしい店だ。商品は、オーナーの格別にモダンな視点で、選び抜かれている。


事務所の隣りにあるこの店は、僕が消えたときに、事務所の者が僕を見つける可能性の高い場所だ。リムアート。ここで僕は、素晴らしいコレクション本を開いて夢中になる。店の奥では、頻繁に展示会も開催される。

原宿近くにある、ループウィラーは、弊社が担当した建物で、千駄ヶ谷の起伏の激しい土地にある。ここでは、昔のミシンで作られた、スウェットやティーシャツが見つかる。

御用達美術館
品川区にある原美術館には、強い思い入れがある。居心地がいいだけではなく、中庭に開いた小さなカフェが愛らしいこの美術館は、１９３８年に、民間住宅を改築して作られた。

青山にある、ギャラリー３６０も見逃せない。本当に小さいけれど、セレクションがよく、６０年代や７０年代の数々のオブジェが、探せば見つかる。

ラットホールギャラリーもおすすめだ。ワンダーウォールが、ここの建築に携わった。写真の展示会がメインイベントだが、地下に位置するため、容易ではない。すごい写真本が並ぶが、ネズミの穴もある。

御用達バー
ここ鎌倉まで、東京から電車で小一時間はかかるだろう。キリンビールのロゴなどを作成したことで有名なデザイナー、カオル・ワタナベが所有していた銀行の内部を、僕の事務所が再構築したバー。小さいけれど、気が狂ってしまうくらいいいムードだ。
The Bank
神奈川県鎌倉市由比ガ浜3-1-1
Tel : 0467-60-6170
営業時間：平日は午後５時〜２５時、土日休暇中は午後３時〜２５時
月曜と第２又は３火曜定休

Photos/F.Simon