フィガロ誌の同僚、アレクサンドラ・ミショーと一緒にかき集めた、今年話題になるはずの情報を、ここでも少しばかりご紹介。
ジスレン・アラビアン Ghislaine Arabian
5年の空白をえて、彼女が僕らの首都へ帰ってきた。
ローデン織のセーターやタータンチェックのマフラーたちが集まってきた先は、半パリジャン、半フラマンドルの血が混ざった、ネオビストロ「プティット・ソルシエール(小さな魔女)」。コース料理が20〜40ユーロという、ミニ価格が魅力的だ。ここでまた、以前大ヒットした名物料理「トラピスト修道院産のビールで作った鱈のブール・ブラン」がお目にかかれる。
すでに連日満席。
Petites Sorcières
12, rue Liancourt - 75014 Paris
T. 01.43 21 95 68.
料理に文句の付けようがなくなった状況下においては、次に続くお品書きを、インテリアデザイナーに託さざるをえなくなる。スタルクが化粧直しを担当したムーリスをはじめ、パトリック・ホアンのジュール・ベルヌ Jules Verne、ピエール=イヴ・ロションのプレ・カタラン Pré Catelan がその一例だ。ホテル・ブリストルでは、増築工事が進行中。その様子は、ブルストルのサイトにて。
支局作りに余念がないピエール・ガニェールが、最近速度を抑えてきたと思っていたら、サヴォワ地方のクールシュベルにある、ホテル、レゼレル を手がけていた。30席しかないのが特徴で、クールシュベルらしい価格のコースメニューは280ユーロ。
ディナーのみ。
Les Airelles
Le Jardin Alpin 73120 Courchevel
T. 04 79 00 38 38
一方、世界最優秀ソムリエコンクール勝者のエンリコ・ベルナルド Enrico Bernardo が、パリのジョルジュサンクを去った後、カシスにヴィラ・マディをオープンさせたのは、皆さんもご存知だろう。その後、なんと彼はヴィラ・マディからも足を洗い、前レストラン、シャマレがあった場所に、イル・ヴィノをオープンさせた。標高差でも細胞分裂し続ける彼が、次にオープンさせたのは、クールシュバルのイル・ヴィノ 1850。パリと同じコンセプトの、高級ワインバー。
IL Vino
13, boulevard de la Tour Maubourg – 75007 Paris
T. 01.44.11.72.00
La Porte de Courchevel, Courchevel 1850
T. 04 79 08 29 62
どうやら、ランスのクレイエール Les Crayères が騒がしいらしい。ディディエ・エレナが、昔の厩舎を買い取り、何かを面白いことを企んでいるようだ。インテリアデザイナーが誰だかご存知だろうか。ここでもまた、ピエール=イヴ・ロション。
ピエール・エルメ
スタークリエイターの彼は、ハイレベルなパティスリーを放出し続けている。毎年発行しているカタログは、ちっちゃなチョコチップで溢れ、微笑ましいミニコレクションは、贈り物に最適だろう。しかし残念なことに、今のところこれは日本でしか発売されていない。唯一の取得方法は、サイト上の懸賞にて。
今年の暮れには、パリでは3号店となる彼のブティックが、右岸にオープンするらしい。
パティシエのフィリップ・コンチー二の場合は、ずいぶん待たされた。路面店オープンのアナウンスが流れてからはや3年がたつ。ストーン調の中に木製のカウンターがあしらわれたその小さなブティックは、1月11日にようやく、マレ地区にあるマルシェ・サント・キャトリン広場に幕を開けた。メニューは、マカロン、無限にあるヌガーのレシピ、マシュマロ、ビスケットに、タリア風のアイスクリーム、そしてチョコレートでコーティングされたぺろぺろキャンディー。
Exceptions Gourmandes Paris
4, place du Marché Sainte-Catherine – 75004 Paris
月休 12h-20h
料理もそうだろう。流行があって、追い風に恵まれた食材が存在する。2006年はビーツの一年だった。それが終わって2007年そして2008年。日本製の柑橘類、柚子の魅力に降伏する年がやってきた。すでに多くのレストランが、柚子をレシピの中に取り入れている。
そして、ザクロも隅には置けない食材となった。非酸化食材という特性をもって、いきなり表舞台に上がってきたと思ったら、すでに偏在的存在になってしまった。
コジャン Cojean のジュースバーがいい例だ。
また、僕らの食卓にかかせない食材も忘れてはならない。
ボルディエの新しいライン、わかめとスモークソルトのバターからは目が離せない。アン=ソフィー・ピック製チョコレートとシリアルのバター等、レストランのシェフも、各自のバターを開発しているようだ。
ドーバー海峡対岸のシェフ、ゴルドン・ラムゼイが、2月か3月にヴェルサイユのトリアノンパレスにある高級レストラン、トロワ・マルシュの舵を取ることに決まったらしい。このアラン・デゥカス、アイルランド版にとって、最高の株式公開買い付けとなった。
大胆なことに、毎日厨房に出ないくせに、「トロワマルシュ」から、その名も「ザ・ゴルドン・ラムゼイ・ヴェルサイユ」へと変更してしまった。
接客の印象は「デリケート」。イギリスの人気者は(特に78年のギィ・サヴォワから)インスピレーションを受けた料理で、その表現法は幅広い。僕らが食事している間、パリに「Flute Bar フルートバー」がオープンしていた。そのシャンパーニュバーは、10年前からニューヨークにあるエルベ・ルソーの2店舗、「the Flute Gramercy」と「the Flute Midtown」をモデルにしたものだ。コンセプトは、シックなパブで、ビールのパントではなくシャンパーニュをフルートで頂こうというもの。メニューには、100種類ものシャンパーニュが名を連ねる。クリュッグのコレクションからボランジェーのR.D.まで、ピエール・ギモネ Pierre Gimonet のグラスで、あらゆるいいヴィンテージシャンパーニュが味わえる。ペトロシアンのサーモンとキャビアの贅沢なタパスがナイス。
Flute Bar
20, rue de l’Étoile – 75017 Paris
始めは9月の予定が、1月に延び、結局は3月頭に決着したようだ。
新しいフォションのレストランが、マドレーヌ広場のシックなエピスリーの2階にオープンする。ピンクとシルバーのインテリアは、クリスチャン・ビエシェール Christian Biecher のデザイン。ブーランジェリーコーナー新装のために改築された部分では、テイクアウト用お惣菜からインスピレーションを受けた温冷両方の軽食が頂ける。天気のいい日には、街の騒音から解放された場所で、20のテラス席が用意される。
Fauchon
30, Place de la Madeleine – 75001 Paris
ミシェル・トロワグロとその妻マリー・ピエールが、フランス中部イゲランドのブリオネに、シックでエコロジックなオーベルジュをオープンさせた。「ラ・コリン・デュ・コロンビエ La Colline du Colombier」と名付けられたそのプティホテルは、約50席あるレストランの客が、食事の後に魅力的な夜を楽しめるコンセプト。すでに3つ星だ。
マルク・ベラが、スキーの大事故にあってから1年が経つ。
そんな彼の3つ星レストランが、マニゴに新装オープンする日が近づいているようだ。
そこは、環境に優しい大自然の中にあるプティホテル。
また、パリにオープン予定の、新コンセプト軽食レストランの立ち上げにも携わる予定。
年々、食の祭典オムニヴォーが、その厚みを増している。
ル・アーヴルに続き、今年の会場となるのはドーヴィル。2月11日と12日に、さまざまなガストロノミーのイベントが開催される予定だ。かの有名なフェラン・アドレアを始め、ミラネーズのカルロ・カロッコ、ブルターニュからはオリヴィエ・ベラン、ドゥ・プロモディアン、ティエリー・マルクス、ミッシェル・ブラ、ジャン・フランソワ・ピエージュ、オリヴィエ・ナスティ等の顔ぶれ。
また、建築やデザイン等、幅広い分野でアトリエやディスカッションを開催予定。
パリの独占組織の中で、コスト兄弟の石蹴り遊びはさらに続いていく。ラルブッチ、シェ・ジュリアン、クレバー通りのバー・ルージュの買収。ビルボケやアリーグル近辺のレストランも又、アヴィロン出身の派閥へ仲間入りする予定だ。