というのも、真剣な表情で、ゲームに乗る気もない連中を観戦できるからだ。挙げ句の果てに、料理を馬鹿にしだすのは、超高級な空間への、反逆精神からくるものだろうか。
この手の宮殿系ホテルのレストランでは、手持ち無沙汰な冷笑的雰囲気を楽しむことを除いては、クラブ・サンドウィッチやコーヒーエクレアやフィナンシエを、お茶の時間に食べなければ、という義務感に取り付かれる。これは、貴族階級によくある傾向かも知れない。つまり、シンプルで素朴なものを馬鹿にしないどころか、その価値を上げようという信念。
ブリストルは、パリの中でも最も富裕層が通う場所で、その馬鹿高い価格には、苦笑いするどころか、大笑いしてしまうくらいである。そこらのブラッスリーで食べるのと同等価格を払って、アボカドのサラダを注文する、という行為は、完全にその人の好みの問題である。
「114」の価格は、下げられたと聞いたが、どこが下がったのかはさっぱりだ。
フライドポテトは、この手の高級レストランにありがちなタイプ。鱈は、綺麗に衣がつけてあって、見栄えはいい。マヨネーズとヴィネガーの間のようなものが、石の板にのってでてきた。
LE 114 FAUBOURG, le Bristol
112, rue du Faubourg-Saint-Honoré
75008 Paris
Tel : 01 53 43 44 44
Photos/F.Simon