パリの夜は、ホームで僕らの乗車を待っているドリームトレインのようだ。
おもいきって乗りこめばいいのに、そうもいかない。
そこは、この世から遠い別世界。
決定的に、朝昼の生活リズムやコードや指令が破壊される。早起きしてよく働くなんてフレーズはない。
よく知りすぎている世界に別れを告げることを意味する。
その世界にいると、食費はそうひどくはかからない。それらの貧乏たらしい食べ物といったら、長時間便の歩廊にストックされているビスケットみたいなものしかない。
だからといって、客足が減るわけではない。
しかし、少し前にこの無惨な現実をひっくりかえすレストランがオープンしたことを耳にした。匿名での訪問。
レセプション
すぐにその雰囲気はつかめる。そこら中にいる女の子たちは、機転が利き、自己認識の強い子たちばかりだった。ほっとさせてはくれるが、興奮もさせる。
僕らは、丁寧にテーブルへ案内された。
その夜は、比較的静かな客入りだった。静寂すぎて、レストランの責任者とウェイトレスの女の子たちが、事務所でひそひそ話をしているのが聞こえるくらいだった。それは滑稽で、魅惑に欠けるものではなかった。
雰囲気
各階に真紅色のショック。内部の赤熱と心地いい音楽。
マンゴーと蟹のサラダ
円形に盛られたこの一皿は、空威張りなく正直で、甘辛のピッチングの中で誠実に食材がおさまっていた。
牛肉のタルタル
夜は根本的な空腹を呼び起こす。油脂、ヨード、塩、熱、そして過激さ。タルタルは、寄り道のない直球な欲望の部類に属する。
この一皿も、物うげだけれど不快ではないフライドポテトとともに、しっかりその期待に応えてくれた。ぼんやりとそれを口に運ぶ。
デザート
片眼鏡みたいに盛りつけられた、陰鬱なタルト・オー・ショコラ。何か足りなくて、不機嫌。居心地が悪そうな一皿だった。
でも・・・
客層
この夜は静かだった。おとなしい中年男性、かわいいカップル、そしてもちろん、夜の雰囲気が足を踊らせる。
サービス
自己認識のあるかわいい女の子たちが、真紅ベロアのセンスで働いていた。
おいしい?
そこそこ。
高い?
メニューの中でも安めのワインを入れて、2人で182ユーロ。ディナーショーのレストランだったら、これくらいの値段だろうけど。
行くべき?
夜の遅い時間だったらOUI
Le Lup
2 rue du Sabot – 75006 Paris
T. 01 45 48 86 47
水〜土の22時から5時まで