ティータイムはパリの街に似あわない。
ルテシア人らは他国へ移ってしまったし、女達はせかせかと働いて、男達はまだ喉が渇いていないときた。
パリのサロン・ド・テは、大手デパートの買い物袋を引きずった旅行客や、何かからインスピレーションを受けたに違いない姿勢で動かない閑人、その口へと往復する小さなスプーンで自分の墓場を掘っているマダムたちで溢れかえっている。
ティータイムには、軽快さが必要だ。
のどかな空を横切るミルク雲のように。
ここ、スクリブホテルに最近出来た、茶室ともいえるサロン・ド・テ。
一見した所、デコレイターのジャック・グランジュ Jacques Grange による内装は要をなしていて、リヨンに本社を構えるお茶の輸入業社、Cha Yuan による厳選されたお茶のセレクションもなかなかのものだった。
もちろん、日本の煎茶も多種そろい、玄米茶やよりクラシックな富士煎茶等が楽しめる。中国茶に関しては7種類そろい、福鼎産の白茶、白毫銀針(12ユーロ)もメニューに並ぶ。このお茶は、新芽の部分だけを摘んでつくられた、世界的にも贅沢なお茶である。また、変わりもの好きには、青オリーブの緑茶がおすすめ。
お茶と一緒に軽くつまめるものは、もうご想像の通り、小さな無痛性のサンドウィッチを筆頭とするシックな軽食のみだ。食べることが大嫌いな方にはぴったり!
もしこの界隈を散歩していたら、是非寄ってみるべきだが、わざわざこのために遠方から足を運ぶ価値はないだろう。
対して何も頼まなくても、2人で54ユーロ。
1T
1, rue Scribe – 75009 Paris
T. 01 44 71 24 24
無休 11時30分〜20時
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