これは称賛すべき習慣といえるだろう。
グラニテ専門メニュー。「カキゴオリ」または、削り氷のことだ。
70年代風の内装が心地いいこのサロン・ド・テほど、上手に季節感のあるお菓子を提供している店はないだろう。
日本の季節菓子である生菓子は、毎月変わるセレクションにそって、同日に作られている。
角みたいにとんがったカキゴオリ。
控えめでありながら豊饒で、富士山さえ思わせる。
この一品は、見せかけ倒しではない。花冠の付いた灰吹き皿に静かにそびえ立つ、まさに丘陵。
これを前にすると、はっきり言ってお手上げになる。飾り気や爆竹音なしに削られた氷の一皿。
それは、贅言や第一感覚のなかに存在し、無垢さと天然の間を行き交う。
イチゴシロップバージョンは、フレッシュで平和な隠れ家を思わせる。
シェフ間のライバル心や、風味の戦争なんて存在しない。ただ、冷たくて澄んだ俳句があるのみ。
野菜とスープの軽いコースメニューがついて、約40ユーロ。きんきんいって、冷酷なこの界隈にはもってこいだ。
虎屋 パティスリーとサロン・ド・テ
10, rue Saint-Florentin – 75001 Paris
T. 01 42 60 13 00
日休